九州大会開きました(その12)

2013年12月4日|

そして今、この「二足のわらじ」を履いて展開してきた佐久総合病院は、この言葉を見直す時期、つまり再構築の時代を迎えています。戦後農村は大きく変貌し、農民病も影をひそめ、生活も豊かになって来た中、同病院のベッドは増えず、医師は4倍以上に増え、急速に医療の専門化、高度化が進んできているのだそうです。医師も看護師も地域に出られなくなり、機能的に昔と同じことができなくなってきました。

そこで佐久総合病院では平成8年に「佐久病院将来構想に関するプロジェクト」を発足、地域の医療と暮らしを守るため、東信地域の医療機関と相互の連携に基づいた地域医療の再構築をめざしています。具体的には生活圏における市民病院としての役割を「地域医療センター」が、また広域医療圏における基幹病院としての役割を「基幹医療センター」がそれぞれ担うというもの。

ただしこれは単に病院を切り分ける分割ではなく、同病院ホームページ資料によれば、「たくさんの種類の草花がぎっしりと大きく育った鉢を、その草花の性質を考えて整理し、2つの新しい鉢に植えかえること」。つまりこの2つのセンターで総合的に「二足のわらじ」を履いていくのだそうです。

映画の終わりは、この基幹医療センター(仮称)が来年の完成に向けて工事が進められていることが紹介されるとともに、若月俊一医師の「医療の民主化とは、いつでもどこでもだれでもが自由に医者にかかれて、医者がそれに広く応えられること。この医療の民主化は医療だけではできない。地域社会が民主化されなくて、どうして医療が民主化されるのか」という力強い言葉で締めくくられました。同病院ホームページ資料にも「私たちは地域のみなさんと一緒にこの再構築を進めることによって、生きがいあり暮らしが実現できるような地域づくりをめざします」とあるように、農民の命と健康を守ることに生涯をささげ、たくさんの業績を残した若月医師、そして地域の医療とくらしをこれからも守り続けていく佐久総合病院の取り組みが余すことなく盛り込まれた、感慨深い映画でした。

IMG_6711.JPG

 

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ