第12回研究大会開きました(その5)

2015年11月24日|

001BQ8V7446.JPG

 「(2)地域包括ケアシステムにおける老健の役割」については、まずその法律的根拠を示した上で、「街づくりが重要です。サービス付き高齢者向け住宅ばかりではいけません。古い団地や空き家を再生・再利用して生活できるようにするとともに、若者と障害者や高齢者が共生できるような街づくりをしていくことが大切」とし、厚生労働省だけでなく、国土交通省や総務省などによる横断的な取り組みの必要性を指摘しました。

 一方「医師の責任も大きいです。現在、医療機関の医者が認知症のことを知らなすぎです。ちょっと認知症が出たら『家での生活は無理』と言います。家族はびっくりして『どこか探さないと』と慌てます」述べ、認知症高齢者や中重度者などでもできる限り住み慣れた自宅で生活する「覚悟」が持てるよう説明するとともに、安易に終生施設を紹介せず、自宅で暮らす「覚悟」を支える様々な介護保険サービスを詳しく説明して不安を取り除くことなどを通じ、本人および家族の選択と心構えを支援することの大切さを強調しました。

 そして地域包括ケアシステムの拠点として老健施設が担う役割として(a)リハビリテーションの充実、(b)R4システム(:全老健で開発したICFに基づいた新しいケアマネジメントシステム)を基盤としたケアの充実、(c)医療の充実、(d)認知症へのより高度な対応・・・の4つを呈示。地域包括ケアシステムは都市部や地方などそれぞれの特性に合わせ、既存の社会資源サービスを有効活用した「地域完結型」であるとし、中学校区にほぼひとつあり、介護保険施設であるとともに医療提供施設でもある老健施設は「地域包括ケアシステムの要になる施設」と老健施設が果たしうる責務の重要性を強調しました。

 「(3)介護職の専門化と地域医療介護総合確保基金の活用」について、2025年に向けた介護人材にかかる需給推計から全国で38万人の介護人材が不足すると推計されている中「宮崎県でも介護職がなかなかいない」という状況に鑑み、東会長は特に時間をかけて説明しました。

 「学生がいないからどんどん減っています」と、年々減少する介護福祉士養成施設の入学定員数や、今年度最低となった三重県における定員充足率を図表で示し、また平成26年度の介護労働実態調査の中で従業員の不足感(「大いに不足」、「不足」、「やや不足」)が増加傾向にあり、平成25年度より2.8パーセント増加の59.3パーセントとなっていることを説明。その一方で、同調査の中で介護の仕事を選んだ理由として「働きがいのある仕事だと思ったから」が最も多い52.6パーセントであることも紹介しました。

 その上で東会長は会場を見渡し「みなさんの老健の介護職は、排泄介助や入浴介助、食事介助以外の仕事をやっていませんか?」と問いかけました。そして「居室の掃除や利用者の洗濯、下膳、そしてお風呂の掃除にエプロンたたみなど、介護職がなにもかもやっています。日本の介護の現場は『まんじゅう型』です」と言いながら「『総合的な確保方策』の目指す姿・・・『まんじゅう型』から『富士山型』へ・・・」というスライドを示し、説明を続けました。

002IMG_9843.JPG

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ