「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その12)

2015年6月2日|

 「死は特別のことではありません。人間にとって自然な経過です。だから『そろそろかな?』という時に、その人が本当に自然に亡くなっていくのであれば、家族もそんなに深刻な顔はせずに、みんな声を掛けながら笑っています」と「ホームホスピスかあさんの家」で看取りを実践している、認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎の市原美穂理事長は、在宅で看取りを行うことで、看取りの主人公である家族が「死」を生活の延長線上にある自然なものとして受け入れ、悲しみの中にも安堵感が生まれ、涙はやがて笑顔に変わるという、昔ながらのプロセスをたどることを説明しました。

 その一方、「看取りの経験がない家族が増えています」と指摘。「症状の変化にどうしてよいかわからず、医者や看護師をいつ呼べばいいか、タイミングがわからなかったり、寝ている人のそばで、どうやって座っていればいいかわからないなど、寄り添い方がわからない人もいます」と述べ、そのような家族へのアドバイスの必要性を強調しました。「かあさんの家」では、「最後まで聴く力はあると言われています。聞き慣れた声は最後まで届いていますよ」、「手を握ったり、身体をさすったり、語りかけたりして下さい。大切な時間です」、「聞いておきたいことや伝えておきたいことがあれば、伝えておいてくださいね」など、具体的なアドバイスを行っているとのことでした。

 そして「いよいよ今日か明日か?」という段階になると「かあさんの家」では家族に泊まってもらうそうです。「家族が横で寄り添えるように布団を準備したり、夜食を作ったりするなど、家族の支援にシフトしてきます。私達が看取るのではなく、その人にとって一番そばにいて欲しい人に看取ってもらいます。そしてそれを私達が支援していくわけです」と、実際に家族に適切なアドバイスをしながら、看取りを行った入居者の事例を紹介しました。

その中で市原理事長は看取りを迎えた入居者のひ孫が、ベッドの横に立ち入居者の手をさすっている写真を参加者に見せながら、「ぜひ皆さんのところでも、小さいお子さんを臨終の場に居合わせて欲しいと思います。子供達は『人が亡くなっていく』というのをみたことがないのでなかなか寄りつきません。だけどちゃんとアドバイスをするとそばに来てくれます。この子も足をていねいに拭いて、靴下を履かせてくれました」と、幼少の頃から看取りの機会に触れることが、施設でも大切だと呼びかけました。

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(つづく)

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