ターミナルケア学びました(看護介護部会:その14)
【死が近づいてきたとき・・・亡くなる過程を心に置いて】
実際にターミナルケアを行った事例を、写真を交えて説明した林先生が次に示したスライドは「死が近づいてきたとき」というタイトル。そして、「死亡前一週間以内」と「死亡前48時間」の2枚で、それぞれ次のような内容でした。
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〔死が近づいてきたとき〕
《死亡前一週間以内》
○トイレに行けなくなる
○水分が飲めなくなる
○発語が減ってくる
○見かけが急速に弱ってくる
○眼の勢いが無くなってくる(注視能力の低下)
○原因の特定しにくい意識障害・傾眠傾向が出現してくる
《死亡48時間以内》
○一日中反応が少なくなってくる
○脈拍の緊張が弱くなり、確認が難しくなる
○血圧が低下する
○手足が冷たくなってくる
○手足にチアノーゼが認められる
○冷や汗が出現する
○額の相が変わる(顔色が変わる)
○唾液や分泌物が咽頭や喉頭に貯留し、呼気時にゴロゴロと不快な音が出現する(死前喘鳴)
○身の置き所がないかのように、手足や顔などをバタバタさせるようになる。
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看取りの経験が無い受講者も多く、神妙な雰囲気が漂う会場を見渡しながら、林先生は穏やかな口調で次のように語りかけました。
「これらの変化は確かに状態が悪化してきたことのサインであって、これらを何とかしなければならないものではありません。変化が出てくると『何とか対処して良くしなければならない』と思うかもしれません。けれどもこれは、『人が状態が悪くなって亡くなる過程』です。決して『何とかしなければ』と焦って何とかしなければならないものではありません。『こういう過程を経て人は亡くなっていくんだな』ということを皆さんは心においてほしいと思います。」
死が近づいてきたサインを冷静に観察・確認し、最期まで愛情を持ち、親身になってケアをやり遂げることの大切さを、受講者は心に深く刻み込んでいました。