ターミナルケア学びました(看護介護部会:その16)
【身近な人を亡くした人に接する時に大切なこと】
そして、大切な人を看取った後、残された家族に対してどのように接するか?林先生は「『誰でもあることだから』などとわかったつもりの事を伝えるよりは、「辛いですね」と正直な気持ち、さらに思いやりの気持ちを持って接して下さい」と、次の4点をスライドに示しました。
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(1)かくさない
・・・相手を理解できたふりをせずに正直に接する
(2)えらぶらない
・・・アドバイスや指示をしない。興味本意の質問をしない
(3)なぐさめない
・・・わかったつもりで発する言葉は相手を傷つけることがある
(4)いっしょにいる
・・・ありのままで、そばにいる。相手の言葉の背景を多様な視点から理解するように努める
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【宮沢賢治に教わる:『こわがらなくてもいい』】
林先生はターミナルケアに関わっていく中で、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のすばらしさを改めて再認識したそうです。その「特にすごい」という箇所は「南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい」という一節とのこと。「『また痛みがくるの?』、『苦しくなるの?』、『誰もいなくなるの?』、『死ぬの?』、『死んだ後ってどうなるの?』など、色々な思いで過ごされる患者さんに『こわがらなくてもいいですからね。大丈夫ですからね』と言えるでしょうか。これはとても大きなことです」と受講者に問いかけました。
「『怖い』というのは感情です。認知症のあるなしにも関係なくみんなが持っています。その方に対して『こわがらなくていいですよ』と言えるためには痛みの事から家族の事など色々なことを含めて対処していく必要があります。その上で初めて『こわがらなくていいですからね。ちゃんとしますからね』と言えると思います。私自身もそう言えるようになっていきたいと思います」と、柔らかな口調の中にも強い意志を言い表す林先生に、受講者は胸を打たれていました。
(つづく)