研究大会開きました(その17)

2014年5月20日|

【本間達也先生特別講演(14)

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 最後に医療・介護訴訟などの視点からの危機管理について、お話します。

まず、苦情や要望についての姿勢ですが、苦情対応の大原則は「迅速、傾聴、組織全体で対応」です。一人が苦情を口に出して言うとき、同じ思いを持っている人はその何倍もいるということを忘れないで下さい。そして苦情は業務改善のよい契機と考える姿勢が大切です。

苦情が紛争に発展する要因には、「施設側の要因」と、「利用者・家族側の要因」があります。

 まず「施設側の要因」には、次の9つがあります。

(1)職員のコミュニケーション3M:『見捨てる・無視する・見下す』

(2)説明不足・わかりにくい説明

(3)利用者・家族の不安不満を放置(相談・苦情の放置など)

(4)利用者心理の理解不足

(5)言動の不一致や不適切な言動

(6)職員間の連携不足

(7)職員の人格や個人的な状況(業務多忙)

(8)管理者への報告遅延

(9)管理者の事案に対する未介入

 

 次に「利用者・家族側の要因」には以下の4つがあります。

(?)施設への不信・信頼欠如(事故前の不満、事故そのものへの憤り、事故後の対応に対する怒り)

(?)期待値のずれ(施設に対する過度に高い要求水準)

(?)人格の問題

(?)事故後に生じる家庭問題(経済的負担、その他人間関係等の問題)

 

 これらを踏まえ、先ほども述べた通り、物事の本質がどこにあるかをしっかり見抜くことが大事です。一人で考えるのではなく、皆で話し合って方針を出していって下さい。

問題解決の基本ですが、「問題の優先順位を的確に判断する」、「キャンペーンをいろいろ打って意識を上げる」、「ひやりはっと事故報告書を積極的に出す習慣を」、「それらの的確な分析→改善につなげること」、「問題点の共有」、「情報開示」、「迅速な対応とその報告」などがありますが、特に情報開示に関しては隠さないことがとりわけ重要です。

(つづく)

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