経営セミナー開きました(事務長会:その1)

2013年10月10日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会は921日(土)宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで「経営セミナー2013」を開きました。日常生活圏域において医療や介護を包括的・継続的に提供できる「地域包括ケア」の重要性が指摘される中、地域の中で介護老人保健施設が果たすべき役割について学びました。

 今回のセミナーのテーマは「どうなるこれからの高齢者ケア ?地域包括ケアにおける施設の役割?(報酬改定からみた方向性)」。講師には(公社)全国老人保健施設協会(全老健)の前会長で現在は理事を務める(一社)熊本県老人保健施設協会の山田和彦会長を招きました。老健施設や特養関係者など、参加者は167名。これは関係者の予想を大きく上回るもので、当日は急きょ会場を変更しての開催となりました。開会にあたり、事務長会の川?豊彦委員長(グリーンケア学園木花)は、「昨今新聞やテレビ、そしてインターネットなどで医療・福祉の問題について色々な情報が出ていますが、いまひとつわからない状況です。そのため私たち施設側の人間、そして利用者もどう対処すればわからず、悩まれているのではないかと思います。この現状を踏まえ、本日は山田先生に膨大な資料をご準備いただき、遠方よりお越しくださいました。今後の報酬改定に向かってどう対処するか、そしてこれからも利用者が安心してサービスを受けながら人生を送れるにはどうすればいいか、考えるヒントにしていただきたいと思います。本日のセミナーがそれぞれの施設運営に役立つことを祈念します」と挨拶しました。

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(挨拶に立った川?委員長)

 

 

≪講演の骨子≫

 私は昨年の6月まで1年半の間、全老健の会長を努めました。今の動きについて十分理解していないところがありますが、みなさんの興味は今後の診療報酬改定、そして介護報酬改定がどうなるかということだと思います。今日はそれを読み解くために役に立つような話ができればいいと考えています。

 これから2025年がターゲット年度と言われていますが、地域包括ケアを抜きにしてはこれからの立ち位置はわからないと思います。この地域包括ケアとは、平成20年の社会保障国民会議が報告した「地域包括ケアの推進:医療介護の連携の重要性」の中で、「医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で用意されていることが必要であり、同時に、サービスがバラバラに提供されるのではなく、包括的・継続的に提供できるような地域での体制(地域包括ケア)づくりが必要である。
医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に人的・物的資源を投入し、できるだけ入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、同時に在宅医療・在宅介護を大幅に充実させ、地域での包括的なケアシステムを構築することにより、利用者・患者の生活の質の向上を目指す」と述べています。それに対して現状は、「医療と介護が分断して提供されており、費用的にも人材的にも非効率」とし、「自宅で療養する患者を取りまく多職種が連携し、方針や目標やケア計画など情報を共有することにより、効率的で質の高いケアが包括的・継続的に提供可能になる」と、日常生活圏域において、医療や介護を包括的・継続的に提供できる「地域包括ケア」の重要性を指摘しています。

 この地域包括ケアシステムは、「介護」、「医療」、「予防」、「住まい」、「生活支援」からなる5つの輪が一体的に提供されないといけないということです。具体的には日常生活圏域を「30分でかけつけられる距離」とし、(1)まず高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいを整備して、(2)見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスや権利擁護をすすめ、(3)住民ができる限り要介護状態にならないための予防の取り組みや自立支援型の介護を推進し、(4)&(5)もし必要になったらきちんとした介護サースや、必要な医療を提供しましょう・・・というので、これらが24時間、365日、包括的に切れ目無く行われることが必須ということです。

 

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(ご多忙の中、講演に駆けつけて下さった山田先生)

(つづく)

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