研修会開きました(栄養給食部会:その1)

2014年2月19日|

(公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は213日(木)、宮崎市のニューウェルシティー宮崎で研修会を開きました。22人が受講し、口腔ケアや高齢者への薬の使い方などについて学びました。

午前中は来年度の事業計画の検討会に続き、一般財団潤和リハビリテーション振興財団潤和会記念病院リハビリテーション歯科の清山美恵先生による講演「歯科医による口腔ケア」がありました。 

清山先生は2005年に九州大学歯学部を卒業後、同学部顎口腔外科や宮崎歯科福祉センターを経た後、同病院に勤務し、現在に至っています。日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の学会認定士であり、摂食・嚥下のスペシャリストとして活躍中です。また、記念病院歯科診療室で月曜から土曜まで診療を行っておられ(土曜日は12時まで)、この日も「白衣を着たまま駆けつけようかと思いました」と言われるほどのご多忙の中を縫って来て下さいました。

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「私は他とはかなり違った歯科医師であり、診療内容も変わっています」と切り出した清山先生。同病院リハビリテーション歯科のホームページ(http://www.junwakai.com/center_info/info_top/info_14)には、「院内に平成23年4月1日にリハビリテーションを主の目的とした歯科が新設されました。常勤歯科医師1名、常勤衛生士2名でスタートし、入院患者様の口腔ケア、摂食・嚥下リハビリテーションに関わっていきます」と紹介されています。うまく「食べたり飲み込んだりする」ための指導を行う”摂食・嚥下リハビリテーション”や、そのための嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査などを実施。さらに脳血管疾患においても、「早期にリハビリテーションで介入することで昨日回復が早くなる」との観点から、発症後すぐの意識のない時からICUに入っての口腔ケアも行っているそうです。

講演では摂食・嚥下のメカニズムに始まり、誤嚥性(嚥下性)肺炎や窒息の危険性、摂食嚥下障害の種類の説明がありました。その中で、好きなものなら食べられるものの、嫌いなものだと摂食困難になる事があるという「嗜好による摂食障害」がスライドを用いて説明されると、日頃それぞれの職場で利用者の栄養管理に携わっている受講者は、自らの仕事を振り返りながら聞き入っていました。

続いて、摂食時の観察のポイント、摂食訓練のしかた、歯科治療や嚥下訓練により栄養状態が改善した事例が紹介され、受講者は「口から食べる」事の重要性を再認識していました。

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さらに、介護保険における経口移行加算や経口維持加算等、また口腔機能維持管理体制加算や口腔機能維持管理加算などの内容と算定基準、必要書類について、誰にでもできる誤嚥リスクの検査法を交えながら説明がありました。その中で日本における死亡原因について、平成24年に肺炎が脳血管疾患を抜いて第3位に上がった事を踏まえつつ、口腔ケアを実施することで肺炎を予防する効果があることを、実際のデータを示しながら説明が行われると、受講者はメモをとるなどして口腔ケアの重要性を再認識していました。

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講演も終盤になり、清山先生は虫歯ができる条件について、「時間」、「甘いもの」、「口腔内細菌」、そして「歯そのもの」の「4つが全部揃ったときに虫歯ができます。だからどれか1つをなくすことで虫歯を防ぐことができます」と説明。引き続き口腔ケアの具体的な方法や使用する道具、義歯(入れ歯)の洗浄方法などについて、スライドを用いて具体的に説明しました。そして、「キーワードは他職種の連携です。多くの職員がその専門性を活かすことで、利用者に多くの効果をもたらすことになりますし、結果的に施設職員も楽になります。私も皆さんと協力して、やれることがあれば対応できるようにしたいと思いますので、相談して下さい」と呼びかけると、受講者からは感謝の拍手が送られました。

(つづく)

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