研修会開きました(栄養給食部会:その2)

2014年2月20日|

 栄養・給食研究部会の研修会(213日、於:ウェルシティー宮崎)、午後からは同部会の委員長である介護老人保健施設慶穣塾理事長の瀧井 修先生による講演「高齢者への薬の使い方」がありました。

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 講演ではまず、薬物療法における高齢者の特徴として、「多病多医多薬」、つまり多臓器にさまざまな疾患が発生し、多くの病院にかかり、多くの薬を種類・量ともに使うことから、重複投与や併用禁忌投与が生じやすい事を学びました。

 次に臓器の機能低下と薬物の吸収・排泄の変化について、「薬物動態を決定する重要因子は吸収と排泄」と前置きした瀧井先生は、高齢者の特徴として、(1)消化管からの吸収は、加齢による影響は比較的少ない、(2)腎臓の機能低下は大きい(腎臓の薬物排泄の指標であるクレアチン、クレアランスは高齢者になると3分の1に落ちる)、(3)肝臓は年齢による影響は少ない、(4)薬物に対する反応の変化として、加齢により過敏になるものや、感受性が低下するものなどがある・・・をあげたのに続き、(5)服薬効率、つまり「きちんとのんでもらえるか?」という”コンプライアンス”の問題に言及しました。「薬の種類や量が多くなると、服薬法が複雑になります。一方高齢者は視力や聴力が低下し、指示が読めなかったり、聞こえなかったりする上に、記憶力や理解力も低下します。さらに指先が不器用となって薬をこぼしてしまうこともありますので、老健では看護師が薬のセットから服薬までを管理しなければなりません」と老健施設における高齢者への薬の使用の難しさを指摘しました。

 このことを踏まえ、高齢者へ薬物を投与する際のポイントとして、(1)薬物の種類と量を少なくする、(2)少量から投与する、(3)他医から投与されている薬剤もすべてチェックする、(4)服薬法は単純・明快なものとする、(5)扱いやすく飲みやすい剤形とし、説明は大きな字で書く、(6)期待される効果と出現する可能性のある副作用をわかりやすく説明する、(7)血中濃度測定可能なものは目安として利用する・・・などをスライドに示して説明し、「高齢者の薬物療法は気をつけてやっていかなければなりません」と言い添えました。

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 これに続き、高血圧および糖尿病の薬物療法について、それぞれの分類や特徴を踏まえた説明がわかりやすく行われました。まず高血圧については、その病因分類を示した上で、薬物療法の開始時期を説明。そしてライフスタイルの適正化に関して、「体重過多の場合には減量」、「週に3回から5回の運動を続ける」、「塩化ナトリウム摂取量を1日あたり6グラム未満に抑える」、「充分なカリウム、カルシウム、マグネシウムを摂取するような食事を工夫する」など、食事療法と運動療法のポイントを示しました。

 また、糖尿病については、診断基準を示したのに続き、食事療法のポイントとして「個人個人のライフスタイルを尊重すること」と、個別対応の食事療法の必要性を強調。そのために「食事の嗜好や時間(食習慣)、そして身体活動量をよく聴き取って下さい」と呼びかけました。さらに考慮すべき事項として、現在の血糖値や血圧、血清脂質などのコントロール状況や肥満歴の有無、エネルギー消費量などを列挙した瀧井先生は、「食事療法も運動療法も、充分な動機付けとやる気、そして長期の継続(柔軟性)が大事です」と、受講者一人一人を見渡しながら語りかけました。

 講演終了後はティータイム。なごやかな雰囲気の中で瀧井先生は、受講者からの質問に身振り手振りを交えながら気さくに応じていました。また今回が栄養・給食部会の今年度最後の研修会であることから、この一年間の部会の活動を皆で振り返りました。楽しい中にも明日からの業務につながる、充実した一日となりました。

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(つづく)

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(つづく)

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