褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その2)

2014年6月17日|

 研修会の本論に入る前に、「(褥瘡の)局所療法という話をする前にまず強調しておきたいのは、褥瘡をいかにできないようにするか?つまり予防が重要だということです。そしてもし褥瘡ができたとしても、なぜできたかを理解した上で、局所療法をしていく必要があります」と津守先生。褥瘡を治療していく上で、ベッドやマットレス、車いす、そしてクッションのようなハードウエアの整備、さらに看護・介護といったマンパワーによる体位交換、保清、栄養管理などといった「土台」の部分がしっかりしてこそ、局所治療が生きてくることを訴え、「局所療法だけでは褥瘡は治りません」と断言しました。

001IMG_7435.JPG

 また、「点滴による栄養と、腸から摂取する栄養では筋肉合成に有意な差が生じる」という研究結果を紹介し、「徐圧や保清に加え、栄養管理も大事です。口から食べられる人はどんな点滴にも勝る治療効果があります」と食事が果たす役割の重要性を言い添えました。

 ラップ療法(Wrap Therapy)1996年、医師である鳥矢部俊一先生により考案された褥瘡の治療法で、ラップや紙おむつなどの日用品を用い、慢性期の医療施設や在宅医療の現場を中心に普及しているもの。津守先生は「創傷管理(特に赤色期以降)を浸出液のコントロールと肉芽形成、表皮化を妨げないという目的からみれば理にかなった方法だと思います。また、褥瘡に対するコスト管理からみれば、安価で有用と言えます」と前置きし、「褥瘡の治療にあたっては医療用として認可された創傷被覆材の使用が望ましい。非医療用材料を用いた、いわゆる『ラップ療法』は、医療用として認可された創傷被覆材の継続使用が困難な在宅などの療養環境において使用することを考慮してもよい。ただし、褥瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な説明をして同意を得たうえで実施すべきである」という日本褥瘡学会理事会の見解を示しました。その上で、「褥瘡の治療は医療行為です。万が一問題が起きたとき、責任の所在は医師にあります。ラップ療法は簡単な療法と誤解され、医師の目の届かないところで行われ、その結果重篤な創感染が見過ごされることがあります。現場の皆さんが『褥瘡とは何か?』をしっかり理解して、もし問題があるようであれば、医師としっかり連携をとっていって下さい」と言い添え、特に感染症の兆候を見逃さないよう注意を喚起しました。

002IMG_7401.JPG

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ