褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その3)

2014年6月18日|

 古賀総合病院皮膚科部長の津守伸一郎先生による研修会は、「1.褥瘡(床ずれ)とは?・・・床ずれに対する基礎知識」、「2.創傷治癒に対する理解・・・キズはどうやって治るのか」、そして「3.褥瘡治療の実際・・・実際行っている処置法(ラップ療法を含めて)、病院と在宅・施設での処置法の違い」という流れで進められました。

 

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【1.褥瘡・床ずれとは?】

 褥瘡(床ずれ)とは、「皮膚・軟部組織の圧迫、ずれによる虚血性壊死であり、身体の一部分(特に骨が出ている部分)が長い時間圧迫されることによりその場所の血流が悪くなり、組織が死んだ状態となってしまう病気」。この長時間持続する圧力とずれが加わると、皮膚表面よりも深部の筋肉や脂肪が虚血になりやすく、壊死になりポケットを形成するため、「褥瘡は中の方から、骨の周りから起こって来ると考えて下さい」と写真やイラストによる説明がありました。

 危険要因保有度による分類として、「起因性褥瘡(危険因子保有者)」、「偶発性褥瘡(危険因子を持たない人)」、「脊損患者の褥瘡(特殊例として分類)」3つ。これに続き、圧迫の時間と壊死との関係について、”200mHgの圧迫が2時間加わると壊死が生じる”ことを、時間軸と圧力軸との関係で示すグラフを用いて説明しながら、「たった一晩、数時間でも悪化し、せっかく治ってきても、それまでの苦労が水の泡になります。ですから体位交換と体圧分散マットレスが大事になってきます」と指摘。

 褥瘡は仙骨部をはじめ、踵骨部、肩胛骨部、大転子部など、骨の突出部位におこりやすいことをおさらいしつつ、「褥瘡の全身的な要因」として、次の4項目を挙げました。

 

(1)  
食事を十分にとれない状態が続き、栄養状態が悪い

(2)  
持病(糖尿病、貧血、心不全、末期がん)がある

(3)  
やせている(皮下脂肪が減少し、骨が出ている)

(4)  
抗がん剤、ステロイド剤(内服、注射)などの薬剤を使用している

 

 特に高齢者の皮膚は、高齢化に伴い、脂腺や汗腺の機能が低下し、乾燥が進むため、皮膚の大切な機能であるバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなるため、「適切なスキンケアが必要です」と強調すると、参加者はメモを取るなどして聞き入っていました。

 これに続き、褥瘡の病期(炎症期、壊死・滲出期、肉芽形成・増殖期、上皮形成・成熟期)や色(黒色期、黄色期、赤色期、白色期)による分類、NPUAP分類(深さによる分類)、DESIGN-P(褥瘡の重症度・経過の評価:※)などについて学んでいきました。

 

(※)DESIGN-Pについては日本褥瘡学会のホームページ(http://www.jspu.org/jpn/info/design.html)に詳細が掲載されていますのでご参照下さい。

(つづく)

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