感染予防対策学びました(看護・介護部会:その2)

2015年11月11日|

 研修会は「ヒトの感染防御機能」の話に触れた後、医療法に定められた院内感染対策およびそれに基づく研修会や対策マニュアルの整備などの制度面の話から始まりました。そして高齢者施設における感染症リスクや感染予防の三原則を踏まえ、全ての感染対策の基本である「標準予防策(スタンダードプリコーション)」、感染経路の違い(接触・飛沫・空気)に応じた感染対策について学習。それから高齢者に多い感染症である感染性胃腸炎やインフルエンザなどといったそれぞれの感染症の特徴および対策について学び、最後に最近の感染症のトピックスが紹介されました。

 ご多忙にもかかわらず、講師を務めて下さった宮崎県福祉保健部康増進課感染症対策室の片平久美子室長(下の写真)が作成、配布された資料をもとにそれらの概要を掲載します。

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【ヒトの感染防御機能】

 (1)感染の危険性を予知して近づかないという「危険忌避行動」、(2)皮膚・粘膜障壁、体液の円滑な流れ、非特異的液性因子などの「解剖・生理的防壁」、(3)「自然免疫・獲得免疫」・・・の3つがある。これらのうちどこかが破綻したとき、感染症にかかりやすくなる。

【高齢者に実害を与えている感染症】

(1)口腔内常在菌、腸内常在菌、皮膚常在菌などの「内因性感染症」と(2)インフルエンザ、ウイルス性胃腸炎、疥癬、集団食中毒、そして血液媒介型感染症(B,C型肝炎、HIV、梅毒等)などの「外因性感染症」がある。

※結核は高齢者の場合潜伏持続感染の再燃、若年者では外因性感染という傾向がある。かつて結核は「国民病」と言われ、高齢者はその時代を生きて来られた事を念頭に置く(発症はしていなくても保菌しているのでは!?)こと。

【医療法施行規則第1条の11:院内感染対策】

「イ.院内感染対策のための指針の策定」、「ロ.院内感染対策のための委員会の開催(無床診療所は任意)」、「ハ.従業者に対する院内感染対策のための研修の実施(当該病院等の実情に即した内容で年2回程度定期的に開催、ただし無床診療所は任意は院外研修の受講でも代用可)」、「ニ.当該病院等における感染症の発生状況の報告その他の院内感染対策の推進を目的とした改善のための方策の実施」

【感染対策マニュアルの整備】

 「院内感染対策のための指針」に即した院内感染対策マニュアルを整備する等、その他の院内感染対策の推進のために必要な改善策を図るとともに、それらを定期的に見直すことが望ましい。

※厚生労働省の「高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成25年3月)」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/)がホームページにアップされているので活用を。

 

【高齢者施設における感染症リスク】

〇毎日当時感の集団生活、レクレーションなど濃厚な接触も

〇マスク着用や手洗いが十分にできないヒトも

〇感染症にかかりやすい(抵抗力が弱い)

〇重症化しやすい(誤嚥のリスクも)

〇脱水をおこしやすい(体内の水分保持能力が低下)

〇結核の既感染者が多い

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(つづく)

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