言語聴覚療法学びました(リハ部会:その2)

2016年3月9日|

言語聴覚障害の中での加齢に伴う老人性難聴とは、加齢とともに徐々に進行する両側性の感音難聴で、音が小さく聞こえるだけではなく、歪んだり割れたりするため「声は聞こえるけど、何を言っているのかわからない」という状態になることが多く、本人自身が難聴を自覚していないこともあります。また比較的低音の聴こえは保たれているので低い声で話をしたほうが聴こえ易い事が多いです。

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老人性難聴への対応としては、サランラップの芯を使って耳に近づけて低めの声で話をする事で聞き取り易くなる方もいます。ゆっくりと単語のまとまりで区切って話すことも大事です。また、大声で話しかけるよりも普通にゆっくり話すほうが聞き取り易いです。口元とか表情などヒントになることもありますので明るい場所で顔をみて話すことや、身振り手振り、文字などを使って話しかけると分かり易くなります。

次に失語症の話です。失語症が疑われる人は・・?

なめらかにぺらぺらと話すAさん。紙に絵を書いているBさん。とぎれとぎれに話すCさん。五十音表を指し示すDさん。この中で失語症が疑われるのは・・・AさんBさんCさんとなります。基本的に失語症のかたは五十音表を指し示す事は難しいといわれていて、失語症といってもタイプは千差万別です。

失語症とは、脳内の言語領域の病変によりいったん獲得された言語機能が障害されるもので、認知症などの全般的な知能低下や失行、失認、構音障害、無言症など他の機能障害によって二次的に生じているものではない症候群のことをいいます。加齢に伴って認知症と失語症を合わせてもっている方もいらっしゃいます。

失語症は脳の血管障害やけがの後遺症として発症し、失語症といってもタイプはさまざま、おなじ症状の人はほとんどいません。言葉以外のことを活用してコミュニケーションをとることができるかたが多いので、ジェスチャーなどいろんな方法を活用してコミュニケーション自体はとれる方は多い。回復の度合いに関しては障害された脳の範囲や患者さんの状態によってさまざまです。

失語の言語症状として、1)発話の症状2)理解の症状3)復唱の症状(真似をする)4)読みの症状5)書字の症状6)計算の症状があります。

話すことの症状ですが、流暢なタイプかどうか(発話の量となめらかさ)、発語失行(ぎこちない話し方)、喚語困難(言いたい事があるのにそれがことばになって出てこない状態)、錯誤(言葉の言い間違い)、ジャーゴン(意味不明の言葉)、常同言語(何を言おうとしても同じ1つの言い回しになってしまう症状)。

聞く事の症状ですが、程度の差こそあれ、聴覚的理解力の障害を伴っています。そんなに理解が悪くないと思う方もいますが、状況判断ができて表情であったり周囲の状況をよんで上手に言葉の理解をしていると思います。失語症の患者さんは何でもハイハイと答えることが多く実際にはわかっていないことがよくありますので、何らかの理解力の低下はあるときちんと理解し文字で書いて残したり、表情をみてはっきりわかっているか判断していただくと良いと思います。

言葉を真似する症状(復唱)に関しては、「ねこ」「さかな」など短い言葉であれば簡単に真似できる人でも、「しんかんせん」など長い単語になれば難しくなる人、単語は上手に真似できても「水を飲む」など短文になれば苦手になる人もいます。

真似する事が苦手な原因としてはいろいろ考えられますので、失語症の訓練を行おうと考えた時に単純に言葉を真似てもらおうとすることはあまりお勧めできないかなと思います。

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(つづく)

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