言語聴覚療法学びました(リハ部会:その3)

2016年3月10日|

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読むことの症状に関しては、文字を読んで理解すること(読解)と文字を声に出して読むこと(音読)は別であると考え、読解と音読は2つに分けて評価します。読解に関しては一般に漢字の方が分かり易いといわれています。言いたい事や伝えたい事がある時は漢字で分かり易く端的に書いた方が伝わりやすいです。音読に関しては仮名をふると読める人もいますが、必ずしも意味を理解しているとは限らないことに注意も必要です。

書くことの症状に関しては、話せなければ書けばいいのでは?という考え方もありますが、話すことと同程度の症状がみられることが多いのです。言葉が思い出せなくて書けない人、文字そのものが思い出だせなくて書けない人もいます。ですからメールやパソコン、50音表も非常に難しくなります。例えば「えんぴつ」を出されて、これは何ですか?と言われた時に、えんぴつは書くもので、消しゴムで消すことができるという知識はあるんですが、それを何という単語か思いだすのも大変ですし、「え・ん・ぴ・つ」と4つの文字が必要で並びで理解し書くことも難しいのが現状です。ただ、まったく書けないわけではなく左手で文字の模写をしたり毎日書いていたような名前なんかは書けたりと保たれていたりします。

計算も苦手な症状で、0から9の数詞もことばであり、計算の中での意味の理解や計算のルールも難しくなり、九九の想起も難しい状態になります。

これらのように失語症の患者さんがいったいどのような状態になっているか?というと「言葉のわからない国にほうりだされたような状態」になります。

聞き取れない、話せない、相手の言ったことを繰り返せない、読めない、ものの名前が言えない、計算できない。そんな大変な状態です。

失語症候群は1)ブローカー失語2)ウェルニッケ失語3)全失語4)伝導失語5)超皮質性感覚失語6)超皮質性運動失語7)超皮質性混合失語8)失名辞失語に分けられます。

ブローカー失語は、話すことが難しい、発話が乏しい、たどたどしく話す、などの非流暢性の発話といわれ、(ぎこちない構音、語の産生や文の構成の困難)、教科書的には理解がよいといわれていますが、失語症の中で理解がよいだけで、理解としては完全ではありません。一般的に病巣からブローカー失語は手足の麻痺を伴っている方が多くみられています。

ウェルニッケ失語は、流暢に話すが言語の障害は明らかな状態。言い間違いや空疎な表現、同じ話の繰り返しが多くなります。聴いて理解することの障害ですので、私達が言っていることも伝わらないし、時にははなはだしい錯語(言い間違い)があっても気付いたり、修正したり調整したりすることができません。注意してほしいのは言葉の理解が出来ないだけで難聴や認知症ではありませんから大きい声で話したりなど対応に気をつける必要があります。

失名辞失語は、発話は流暢で文章の構造に問題なく日常会話であれば十分にこなせますが言葉がとっさに出てこないため、空疎な発話や錯語、迂言があります。身体面でも軽度なことが多いが生活上不便は大きいですので理解して支える事が必要になります。

全失語は、全く話すことができない状態で聴く能力は重症からある程度保たれているものまでさまざまです。知的能力は失われておらず、話そうとする気持ちはありますADLを通じて意思の疎通が図れることも多くあります。

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ここで参加者同士ペアになっていただき体験を行いました。1人は好きなものを頭に1つ思い浮かべ、もう片方はいろんな質問をしながら相手の好きなものを当てるということを行いました。ただし、受け手側は「はい」と「いいえ」だけです。参加者はいろんな言葉を考えながら質問をしていきましたが、なかなか難しいものでした。

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なかなか思うように伝わらないもどかしさや、質問の工夫の仕方を体験するのによい機会になりました。

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(つづく)

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