褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その4)

2014年6月19日|

【2-1.創傷治癒に対する理解(1)】

 「褥瘡とは体の皮膚が無くなっていく皮膚欠損、いわゆる『キズ』です」と津守先生。その定義や種類、治り方や治し方について説明を進めていきました。

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 「皮膚は外敵から守ったり、水分や体温を調節する大切な器官の一つです。その皮膚の組織が壊れ、機能障害をきたしているのが『キズ』です。ですから、『キズ』ができると、体は皮膚を戻そうと一生懸命働きます」とスライドを示しながら述べた上で、「『キズを治す』というのは何かの治療をして治しているわけではありません。治る能力があるから治るのであって、キズの治療をしているから治るというわけではありません。ですから、治す力を上手に使って治るのを邪魔しない、治す力を上手に引き出してやることが大事です」と言い添えました。

 キズの種類について、次のようなものがあることを、写真を紹介しながら説明がありました。

 

(1)外傷などの外因によるもの・・・擦過傷(すりきず)、裂挫傷(裂けきず)、熱傷(やけど)、低温熱傷(湯たんぽやけど)、褥瘡(とこずれ)

(2)血管の病気によるもの・・・動脈硬化症による壊疽、下腿潰瘍(うっ滞性潰瘍)、糖尿病性水疱・潰瘍

(3)自己免疫性疾患・・・膠原病による潰瘍(血管炎、(2)も重複)、水疱性類天疱瘡(水疱症)

 

 「結局色々な原因でキズは起こってくるわけです。しかし、強調して言いたいのは『”皮膚の欠損”ということで考えると、キズというものは”皮膚がなくなっている”という状態に違いはない』ということです。ですからキズの治療は皆同じです」と、皮膚欠損という観点からすれば、擦り傷ややけどと褥瘡は同じであるとした上で、「違うのは原因が一過性のものか、それとも続くのか、ということです」と述べ、スライドを用いて次のようにその相違を説明しました。

 

《擦り傷、やけどなど(急性創傷)》

・・・原因は一過性

《床ずれ(慢性創傷)》

・・・原因、誘因が恒常的に続くもの(取り除けない)

・・・秩序立った創傷治癒機転の阻害・破綻が起こった状態

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(つづく)

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