研究発表の手法学びました(ケアプラン部会:その3)

2015年2月17日|

 研究の種類には、一人に対して行ってみて良い結果が得られたものを、他の人にもやってみて良い結果が現れるかどうかを調べていく「介入(実験)研究」、質問紙(アンケート)での調査や面接調査、グループインタビューなどを通じて調べていく「調査研究」、そして特殊と考える事例、あるいは意図を持って試みた事例を詳細に記述説明した上で、その事例の根拠を説明する「事例研究」など、様々な研究方法があり、「得たい結果に基づいて、方法を使い分けることが必要」とのことでした。

 このうち、事例研究について小野美奈子先生は、「実際に経験した事例から、その背景にある普遍的法則を推論するために行われる研究で、その対象が経験していることは何であるかを明らかにすることが大事です。同じような言葉に『事例報告』がありますが、これは事例の経過を振り返り、『こんな事例がこのようになった』と、事実を述べていくもの。これに対して事例研究は研究テーマを設定し、『この事例は一体何だろうか?』と、それに対して生じている現象の意味を調べ、意図的に記述し、研究としての計画的で継続的な方法を用いて報告されるものです」と事例報告との違いを説明しました。

 また、研究対象となる事例については、(1)いまだに文献に報告されていないが、特殊と考えられる珍しい事例、(2)従来から言われている理論を肯定すると考えられる事例、(3)従来から言われている理論を否定すると考えられる事例、(4)新しい看護・介護技術や開発した看護用具の経験事例、(5)実態調査や分析的研究を計画する上で、適切な調査項目を決めるための情報源として選んだ事例・・・などがあるとのこと。これらを踏まえ、研究のプロセスを、「日中の傾眠や夜間不眠がある。この利用者の生活リズムが調整できないか」という事例を用いて学んでいきました。

 研究のプロセスは「1.問題の発見から研究目的の明確化」に始まり、「2.研究計画の立案から実施」を行い、そして「3.抄録、論文の作成」という流れ、まず「1.問題の発見から研究目的の明確化」については、「その後の研究遂行を大きく左右する重要な部分です」とし、「”日中の傾眠や夜間不眠がある。この利用者の生活リズムが調整できないか?”、『どうしたら多職種と協働できるだろうか?”など、『よりよい実践したい!』と思うところから問題意識が生み出されます。問題意識を明確化することが大切で、強い問題意識があれば、後の研究は進んでいきます」とした上で、「問題意識がなく、『1年に1回、何か研究を出さないといけない』だと良い研究は生まれません。”やらされ研究”になってはいませんか?」と会場に問いかけました。

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(つづく)

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