糖尿病の食事療法学びました(栄養給食部会:その3)

2015年3月3日|

「糖尿病の食事療法 ?最近の私の考え方?」と題した松尾剛志先生の講演は、糖尿病の食事療法の歴史(世界・日本)を踏まえて、「食事法は、個人の好みで選べばよい」、「おすすめは地中海食」、「カロリー制限は肥満者のみ」、「適度のアルコールはOK」などの項目が盛り込まれた、最新の欧米の糖尿病の食事療法が紹介されました。また、インスリン抵抗性改善という点で食事療法を考えると、(1)肥満防止、(2)高齢者(サルコペニア防止)、(3)歯科医師、(4)腸内細菌・・・の4つがキーワードになるとのことでした。

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 また、「高齢者はどういう人達かと言うと、『特殊』で『多様な集団』だと思います。若い人とは違うし、同じ年齢の高齢者でも違いがあり、ものすごくバラエティーに富んでいます」とし、体成分構成(筋肉と水分が減り、脂肪が増える)やエネルギー消費量(基礎代謝量や運動での消費量、NEAT=non-exercise activity thermogenesis非運動性身体活動”による消費量が低下する)、 生理機能(肺、腎、心、消化吸収などの機能が低下する)などに関する特殊性を、スライドを用いて説明。「筋肉が落ちるとインスリン抵抗性が必ず増悪します」、「運動だけでやせようと思ったら、プロ並みにやらないと落ちません。NEATは身体活動量。ビルの4階にいる人が1階に忘れ物をした場合、電話をかけて持って来させるのと、エレベーターで下りて取りに行くのと、階段で下りて取りに行くのとでは大きく活動量が違います」などとわかりやすく具体的な例を示しました。また口腔機能や消化管運動、嚥下機能などの低下や貧困、社会的孤立、認知症などといった高齢者の特殊性が食欲低下を来していることを指摘しました。

 そして高齢者の多様性については「エベレストに登頂する80歳もいれば、ベッドに寝たきりになっている80歳もいます。男女でも、そして昔と今でも違います」とし、「常に『ひそれぞれ』だと考えて下さい」と強調しました。

 このような事から、「高齢者糖尿病の栄養管理は『ひとそれぞれ!』、『画一した管理方法はない』」とし、高齢者のQOL(生活の質、人生の質、生命の質)を維持するように、ケースバイケースで進めていきましょう」と呼びかけました。

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(つづく)

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