言語聴覚療法学びました(リハ部会:その4)

2016年3月11日|

言語聴覚障害の対象者に対してどのように言葉の評価をしていくのかということですが、まずは、挨拶をしてみてどの程度言葉がでるか、意欲やコミュニケーション能力が保たれているかなどみていくことになります。それらを判断した上で絵や文字のカード、身近な物などを使用した詳細な評価をしていきます。対象者は分かっているのに言えないという事は自覚がありますので、試すように「言ってみて」などいうのは傷つける事にもつながりますので簡単には行わないほうがいいと思います。

言葉の状態を評価したうえでの観察点として、食事や移動、更衣などの日常生活場面をみたり、他者とのコミュニケーション場面や「はいいいえ」の反応は出来るのか、聞かれたことをそのままでいいのでオウム返しが出来るかなど言葉以外での行動面の評価も合わせて実施します。

一般的に脳損傷を受けた方は、すばやく反応が出来なかったり反応ができる時と出来ない時、小さなことにこだわったり、注意障害があったり、緊張したり、頭が疲れると同じ事を繰り返したり、環境変化にも敏感に反応したりとありますのでいろんな事に気をつけながら評価していきます。

001BQ8V0080.JPG

評価をする中で失語症なのか構音障害なのかありますが、喚語困難が有り、復唱、50音表、パソコン、筆談と失語症はできないということで鑑別していきます、失語症と認知症の違いに関しては、失語症では意思表示や病識はありますが、認知症では言える時と言えない時の差や復唱や音読が困難な時があります。

失語症のリハビリテーションに関しては、急性期では速やかなコミュニケーション手段の確立及び家族への障害の説明、コミュニケーション・ノートなどの導入、回復期では、機能回復訓練(個別訓練・集団訓練)、日常コミュニケーション能力の改善、維持期では言語機能の維持、実用コミュニケーション能力の拡大、社会・地域参加の促しが考えられます。

言語訓練の目的は、言葉を言うという事が最終的な目標ではなくて、言葉と言葉のもつ意味の理解との結びつきを強くする事が目的であるので、単純にカードをみてことばをいう事ではありません。

一般的に回復を促す要因として、発症からの経過期間、失語症の重症度、失語症のタイプ、脳損傷の部位と広がり、健康状態や合併症の有無、教育歴や言語以外の知的能力の高さ、言語訓練の有無、内容が影響されます。

維持期の言語聴覚療法としては、実用的なコミュニケーション手段の確立、できないことでなく「できること、保たれている機能」をのばす、家族や関係者のコミュニケーション負担を軽減し、本人との交流を支援することになります。

日常性生活場面で出来ることとして、言葉の障害があっても会話以外に言葉にふれる機会を増やすことが大事で、テレビやラジオ、新聞や雑誌などを見ることもいいと思います。言葉以外のコミュニケーションを工夫すること、字を書いたり絵を描いたり、ジェスチャーをしたりなど言葉以外の世界を豊かに過ごすことが大事になります。

002BQ8V0084.JPG

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ