経口摂取・口腔ケア学びました(支援相談員部会:その3)

2013年10月2日|

 口腔ケアで何が変わるかというと、今話したように誤嚥をして肺炎を起こすのであれば、口腔ケアをして細菌を減らして肺炎が防げます。それから忘れてはいけないのは味覚障害のこと。口の中がきたないと、味覚が絶対に変わります。正常な味が感じられなくなります。大したことないと思うかもしれませんが、今から三日間、誰ともしゃべらず、水も飲まず食べ物も食べず、じーっとしていたら、口の中にはあっという間に虫歯と歯周病が出てきてボロボロになります。そのまま口も洗わず歯磨きもせずに大好きなものを食べてみて下さい。「おいしい」と思って食べても、まったく別物の味になります。誤嚥リスクを回避するだけでなく、口腔ケアにより味覚を復活することで食欲が復活し、QOL(生活の質)の向上にもつながります。

 さらに、食べるだけではなく、社会性にも大きく関係しています。前歯に虫歯があって黒くなっている子がいますが、それを人に言われるのがいやで隠して、しゃべらなくなって社交性が途絶えるということは本当にある話です。人ときちんと話すためにも、口元をしっかりする必要があります。「芸能人は歯が命」ではなく、「みんな歯が命」なんです。

 

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【口腔機能維持管理体制加算・口腔機能維持管理加算】

 それで皆さんにやってもらいたいのは口腔機能維持管理体制加算と口腔機能維持管理加算への取り組みです。これは20124月の介護保険施設の入所者に対する口腔ケアの取り組みを充実する観点から、従来の「口腔機能維持管理加算(30単位/月)が「口腔機能維持管理体制加算(30単位/月)」に名称変更され、「口腔機能維持管理加算(110単位/月)」が新設されたもので、口の機能を維持しましょう、管理しましょう、というものです。口腔ケアをしようといっても、歯科医師と歯科衛生士がみんな駆り出されて老健施設などに行っても人手が足りません。そこでどうやったら利用者に対し、徹底的に口腔ケアができるか、というのを国が考えたわけです。歯科医療者が介護スタッフに説明や指導をして、そのスタッフが直接口腔ケアをしたり、あるいは他のスタッフに技術を伝達することで口腔ケアが浸透すれば、私たちが利用者の所に直接行かなくても、利用者の口の中がきれいになる、という考え方です。

 厚生労働省が定める口腔機能維持管理体制加算(30単位/月)の算定基準は、「1.介護保健施設において、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っている場合。2.歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言および指導に基づき、入所者または入院患者の口腔ケア・マネジメントに係る計画が作成されていること」。そして口腔機能維持管理加算の算定基準は「1.歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔ケアを月4回以上行った場合。2.口腔機能維持管理体制加算を算定している場合」です。

(つづく)

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