経口摂取・口腔ケア学びました(支援相談員部会:その4)

2013年10月3日|

  この口腔ケアの効果についてですが、歯科衛生士が口腔ケアをやると、肺炎が起きる率がぐんと減ります。もちろん介護職員の人も一生懸命口腔ケアをやってくれていますが、歯科衛生士がやると半分くらいに減ります。それはどこを磨いたらいいかとか、どうすれば口を開いてくれるかなどのポイントを知っているからです。私たちも基本はしっていますが、歯科衛生士はテクニックがあり、手がよく動きます。

 福井智子先生らが3年間かけて行った調査研究によると、(1)介護職員による日常的口腔ケアに加えて、歯科衛生士による専門的な口腔ケア(週1?2回)を実施した群、(2)介護施設職員による日常的口腔ケアを実施した群、そして(3)従来群(なにもしなかった場合)・・・の累積肺炎の発症率は、(3)の従来群は3年間で累積肺炎発症率が30パーセント近くにもなるのに対し、(2)1年ちょっとまでは肺炎が発生せず、3年間で123パーセントにとどめることができました。そして(1)、つまり口腔機能維持管理加算をやると、2年越しても肺炎にかからなかった、という結果になりました。それで国が「歯科医や歯科衛生士と連携してやりなさい」と、昨年度から口腔機能維持管理加算を新設したわけです。

 それで歯科衛生士を雇う施設が増えてきました。歯科医の先生も頑張っておられます。もちろん雇ってもその分赤字です。でも雇うのはなぜか?患者が肺炎にかからないからです。1回かかると10万円かかり、抗生剤も使います。何人も肺炎を起こさなければ、黒字に変わっていきます。

 ただし、ネックになっているのは計画書を作って保管しなければならないことですが、今は和光堂のホームページ(http://www.wakodo.co.jp/kaigo/kankeisha/index.html)からダウンロードして活用できますので使って下さい。

 『(口腔機能維持)管理体制加算』と『(口腔機能維持)管理加算』の違いですが、『管理体制加算』は歯科医療者からの指導を受けることで、入所者への口腔ケアが効果的にできるものです。

 『管理加算』は入所者の口腔環境を整えるとともに、経口摂取をより安全に行うことができるものです。ただし、歯科衛生士が来て歯を磨くだけではありません。歯科衛生士は摂食・嚥下に関して高い専門性をもっています。食事も見られるし、嚥下も見られます。食事指導で食器の種類やセッティング、座り方の指導をしても1回にカウントされるというところがポイントです。それにより誤嚥も回避できます。

 キーワードは「多職種の連携」です。多くの職種の人がその専門性を活かして、お互いに情報を共有して一人の人にアプローチすることで、利用者に多くの効果をもたらすことになります。加算は多くはなくても、結果的には施設の職員も将来的には絶対に楽になります。大事なのはここだと思います。きちっとやっていくと口の中がついてきます。最初は時間がかかっても、短時間で済むようになって、それぞれの本来の業務に戻れるようになります。

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(つづく)

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