糖尿病の食事療法学びました(栄養給食部会:その5)

2015年3月5日|

 筋肉を元気にすることが、高齢者糖尿病の患者にとって大切であると学んだ218日の栄養・給食研究部会研修会。講師の独立行政法人地域医療機能推進機構 宮崎江南病院副院長、松尾剛志先生は次のキーワードとして「歯科医師の参加」を挙げました。その理由の一つとして示したのが「歯周病、歯周炎の問題」。これは糖尿病の合併症として注目されており、慢性炎症はインスリン抵抗性を増大させる一方、加療することで糖尿病コントロールが改善されるそうです。

 また、噛めないと肉などが食べられないなど、噛むことの効用が大きい事や、嚥下性肺炎の問題もあり、歯科医師の参加が大事だとのことでした。

 そして4番目のキーワードとして学んだのが「腸内細菌」。成人の消化管に約1000種類、100兆個、1.5キログラム存在する腸内細菌の特徴や成立および年齢による変化、遺伝的因子の関与は低く、出生直後から離乳期までの環境因子が重要である個人に特有な腸内細菌叢、腸内細菌の重要な役割などを踏まえ、腸内細菌叢が乱れると短鎖脂肪酸を生成する細菌種が減少し、インスリン抵抗性が増大したり、肥満になったりして、糖尿病には非常に悪い事などを学びました。

 そして腸内細菌に注目した糖尿病治療として(1)食事療法、(2)プロバイオティクス、(3)プレバイオティクス、(4)薬物療法、(5)FMTfecal microbiota transplantation)があり、それぞれについての説明が、スライドを用いてありました。

 最後に今回のテーマである「糖尿病の食事療法 ?最近の私の考え方?」について

 

1.ひとそれぞれ!画一した栄養管理方法はなし!

2.カロリー制限は、肥満者のみ!

3.タンパク質を意識した栄養管理方法を!(レジスタンス運動とともに!
筋肉量維持! 腰から下肢にかけての筋肉を元気に!)

4.歯科医師との連携が大切!(歯周病治療、義歯、口腔ケア)

5.腸内細菌にも関心を!(プロバイオティクス、プレバイオティクス)

 

・・・の5項目を提示し、講演を締めくくった松尾先生に、感謝の拍手がおくられました。

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 情報や意見を交換し、問題意識を共有するとともに、来年度の事業方針を検討し合った午前中、そして糖尿病の食事療法を様々な方向から考え、わかりやすく学ぶことができた午後。栄養・給食研究部会が開いたこの日の研修会は、明日からの業務につながる大変有意義なものとなりました。

(おわり)

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