感染予防対策学びました(看護・介護部会:その5:インフルエンザ、結核について)

2015年11月16日|

宮崎県福祉保健部健康増進課感染症対策室の片平久美子室長による「高齢者の感染予防対策」研修会。ノロウイルスに続いて、インフルエンザおよび結核についての講義に入りました。

※「厚生労働省Hp『インフルエンザQ&A」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

も合わせてご参照下さい。

【インフルエンザの感染期間】

感染してから発病まで1日から3(体内にウイルスが入ってから増えるピークが2日前後)

ウイルスの排出は発病の1日前から、発症後3-7

〇排出されるウイルス量は解熱とともに減少するが、解熱後もウイルスは排出される。排出期間の長さには個人差がある

〇学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」が出席停止期間

【インフルエンザの感染経路】

〇咳やくしゃみの際に口から出る小さな水滴(飛沫:ひまつ)による感染。飛沫は周囲1.5メートルから2メートルに飛ぶ

〇飛沫を触った手で他の場所に触れるとそこから感染が広がる(接触感染)

〇感染者全員が高熱や咳症状などが出てインフルエンザと診断されるわけではなく、症状が軽かったりして感染していることを本人も周囲も気がつかないこともある(特にワクチン接種者)

【インフルエンザへの対処】

(1)流行期には人混みや繁華街への外出を控え、具合が悪ければ、無理をして学校や職場などに行かず、早めに医療機関受診、診断を

(2)安静と休養(特に睡眠!)、水分を十分に補給

(3)咳・くしゃみなどの症状がある時は、周りへうつさないためにマスクを着用

(4)飛沫感染なので、個室隔離できない場合は、カーテンなどで仕切る

(5)薬の服用を適切な時期(発症から2日以内)に開始すると、発熱期間は通常1日から2日間短縮され、ウイルス排出量も減少する。症状が出てから2日以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できない(全く効かないことがある)

【インフルエンザワクチン】

〇効果:(1)感染後に発病する可能性を低減、(2)かかった場合の重症化防止

〇流行に入る前(10月くらい)から接種が始まり、2習慣後から5か月間ほど有効

流行期を考えると、遅くとも12月中旬までに接種を!!

〇接種してもインフルエンザにかかる可能性はある(ワクチンを過信しない!)。しっかりとその他の予防法を行うこと!!

3価ワクチンから4価ワクチンに変更

【適度な湿度の保持+免疫力を高める】

〇空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなる

〇特に乾燥しやすい冬場の室内では、加湿器などを使って適切な湿度を(50%から60)を保つことも効果的

〇体の抵抗力を高まるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日頃から心掛ける

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【結核の症状と感染】

→「咳が2週間続く」、「タンが出る」、「体がだるい」、「急に体重が減る」

【結核は空気感染】

「公益財団法人結核予防会『結核Q&A』」http://www.jatahq.org/about_tb/index3.html)も合わせてご覧下さい。

※結核は空気感染。くしゃみや咳で結核菌が排菌されると、飛沫が水分を失って軽くなり、空気中を飛び回る。それを他の人が吸い込んで感染(鼻やのどで消えてしまえは感染しない)。換気や日当たりの悪い場所で感染が起こりやすい。

【結核の感染と発病】※「感染」=「発病」ではない!

〇感染:結核菌を保菌している状態

〇発病:喀痰中に結核菌が出て来た場合

〇「感染=発病」ではない

〇感染して2年間は発病のリスクが高い

 →X線健診を定期的に受ける

〇感染しても発病するのは10パーセントから20パーセント

〇過去に感染した人が高齢になって免疫が弱くなって発病する例が多い

〇感染しても予防的に治療(抗結核薬1剤を半年内服)すれば発病リスクが3分の1に減らせる

【結核にかかりやすい人】

〇高齢者

〇乳幼児

〇免疫力が落ちている人(糖尿病、胃切除、がん、ステロイド、透析など)

【結核の検査】

?.感染を知るための検査:IGRA検査(免疫)、ツベルクリン検査

?.発病を知るための検査:胸部X線検査、喀痰検査(塗沫・培養・PCR

【喀痰の検査】

〇塗抹検査:喀痰を染織して顕微鏡で観察(結核でない抗酸菌と区別はつかない)

〇培養検査:喀痰を培養して菌を増やし、少ない菌でも発見できるようにする(4週間から8週間かかる)

PCR検査:喀痰の中に結核菌の遺伝子があるかを検査(菌が生きているかは不明)

【検査結果の解釈】

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【発病が疑われたら】

6か月から9か月間、2-4剤の抗結核薬を服用

〇医療費の公費負担制度がある

【感染が疑われたら】

〇最近の感染が疑われた場合、発病予防のための治療を行う(発病リスクを1/3に減らせる)

6か月間、1剤の抗結核薬を服用

〇X線検査でフォロー

【結核の感染予防法】

〇結核を疑う患者さんは個室管理

〇医療従事者はN95マスクを着用(患者さんにはサージカルマスク)

〇部屋の換気

〇リネンなどは日光(紫外線)に当てる

〇健診をきちんと受け、早期発見

(つづく)

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