ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その6)

2014年1月13日|


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【ハラスメント健康に及ぼす影響:うつ病】

精神的、心理的ハラスメントは、うつ病、不安障害、適応障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、健康に様々な影響を及ぼします。この中でまずうつ病について話します。

うつ病は職場でもっとも多い、こころの病の代表格です。これは抑うつ状態を繰り返す病気で、自殺の背景にうつ病が多いと考えられていて、特に20代から30代の死亡原因の第一位が自殺だと言われています。

うつ病に見られる自覚症状には(1)睡眠障害(本当は眠たいのに眠れない、朝早く目が覚めてしまう)、(2)食欲低下(食べたいと思わない、何を食べてもおいしくない、砂をかむようだ)、(3)作業能力の低下(頭の回転が落ちる、作業に時間がかかる、ミスが多くなる)、(4)意欲低下(何をするのもおっっくう、集中困難、決断ができない)、(5)社会的関心の低下(人に会いたくない、新聞やテレビを見る気にならない)、(6)抑うつ状態(気分が沈む、生きている実感がない、自分一人が取り残されている感じ、生きているのがつらい、生きていても仕方がない感じ)、(7)異性に関心が持てなくなった、(8)自殺念慮(死ねば楽になるだろうと思う、死にたいと思う)・・・などがあります。

次に他覚症状としては、?顕著な体重減少(1か月で5から10kg)、?土気色の顔色、表情の豊かさの減少、目つきの力の欠如、?単調で力のない話し方・・・などがあります。

いつもと違う状態や、自覚症状が2週間以上続く場合は要注意です。専門医の受診や産業保健スタッフ等への相談の目安となります。

うつ病を例えるならば、「人が生きていくために必要としている”命のエネルギー”が欠乏している状態」です。したがって、うつ病の治療は、「命のエネルギー」をうまくためることです。その治療の第一はまず休養・休業です。職場から離れる期間は3か月程度が目安です。第二には抗うつ薬を飲むこと、そして第三には心理療法および環境調整です。

 

【ハラスメント健康に及ぼす影響:不安障害/パニック障害】

パニック障害は、動悸や息苦しさ、震え、吐き気、目まいなど、パニック発作を主症状とするものです。また「死んでしまう」などの恐怖感に襲われることもあります。これらは救急車で搬送されても、病院到着時に症状が消えてしまいます。さらに、予期不安(またなるかもしれない不安)や広場不安(逃げ場のない場所、大勢集まる場所等での発作への不安と恐怖)なども起きます。

このようなパニック障害は、医療機関の適切な指導や治療が受けられない場合も多いため、慢性化しやすく、うつ病へとなりやすいので注意が必要です。

 

【ハラスメント健康に及ぼす影響:不安障害/強迫性障害】

強迫性障害の症状には、こだわり(頭では”ばからしい”と思いながらやってしまう)、強迫観念・強迫行為,不潔恐怖(トイレに行った後にばい菌で汚染されていると感じ、何度も手を洗ってしまう:洗浄強迫)、確認強迫(鍵を何度も確認する)、儀式(何か行動する時に、決まった順番にしないと気が済まない)、などがあります。

強迫性障害の治療には抗うつ薬(SSRI)や、認知行動療法などがあります。日常生活に支障をきたす場合は根気よく治療することが必要です。

(つづく)

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