研修会開きました(支援相談員部会:その6)

2014年2月10日|

【高齢者見守りのポイント】

「皆さんは老健施設にお勤めということで、ぜひ高齢者の見守りをお願いします」と切り出した宮崎県消費生活センターで啓発担当をされている宇土智子先生。同センターでは各地のサロンに出向いての消費者被害防止関連の出前講座もやっているものの、「出前講座に出てくる人は元気な方が多く、何かしら社会とのつながりもある方々なので大丈夫かな、と思うのですが、出て来られない人たちには情報が届かないので、皆さんに協力をいただければと思います」と、会場を見渡しながら協力を呼びかけました。

 そして県が作成した「地域の見守りで高齢者の消費者被害を防ぎましょう」というパンフレットを用いて高齢者の消費者トラブルの特徴について説明しました。

 

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研修会で配布されたパンフ『地域の見守りで高齢者の消費者被害を防ぎましょう』。見守り活動の流れや気づきのポイント、事例紹介や解決方法にQ&A・・・と詳しく、そしてわかりやすく書いてあります)

《高齢者の消費者トラブルの特徴》

(1)“孤独”を狙われる

 高齢者は日頃のコミュニケーション不足から、寂しさを抱えている人が多い。特に一人暮らしの場合は、普段の話し相手がいない分、優しい言葉で語りかけてくれる販売員のことを「親切な人だ」と感じ、家に招き入れてしまう。

(2)高齢者の”ほこり”が相談をはばむ

人に迷惑をかけないことを美徳とする高齢者は多い。たとえ被害にあったとしても、「だまされた自分が悪いんだ」と自らを責め、ほかの人に迷惑がかからないよう、誰にも相談せずにいたり、家族に知られたくないかとかくすケースが目立つ。

(3)“お金の不安”につけこまれる

老後を安心して暮らしたいと願う高齢者にとって、老後のお金の問題は大きな不安要素。収入に不安がある高齢者は、販売員の「必ずもうかる」といううたい文句を信じ、金融商品などの契約をしてします。

(4)“健康への不安”を利用される

多くの高齢者は何かしらの身体の不調を感じている。悪質業者はそうした高齢者が抱える健康不安につけこみ、「痛みが治る」「血圧が下がる」などといううたい文句で、高額な商品を購入させようとする。

(5)その他の特徴

○被害にあったことに気づかない:判断能力が低下し”あやしい”と気づくのが遅れる。特に販売員を信用している場合は、まさか”自分がだまされている”とは気づかないことも多い。

○複数の被害にあっている:悪質業者は「だましやすい人」だと判断すると、あの手この手で次々と契約を迫ってくる。高齢者の場合、周囲が気づかないうちに複数の被害にあっているケースが多いため、注意が必要。

○被害金額が高額:高齢者の被害金額はしばしば高額になる。実情はどうあれ悪質業者にとって高齢者は老後のための貯金を持っている「お金持ち」なので、言葉たくみに不当に高い商品を売りつける。

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 これらを踏まえて、高齢者が消費者トラブルに巻き込まれないための見守り活動の流れについて説明がありました。

《高齢者見守り活動の流れ》

(1)日頃から高齢者と交流をはかる

身近な高齢者と日頃からコミュニケーションをはかる。普段からあいさつを交わし、関係を密にしておくことで、高齢者のささいな変化に気づくことができる。また、信頼関係があれば、声をかけたときに高齢者もより相談がしやすくなる。

(2)高齢者の様子の変化に気づいたら

?高齢者に声をかける

?何があったのか、事実を確認する

→もしも認知症の症状があると思ったときは、地域包括支援センターに相談。また、成年後見制度の利用を検討する。

?消費者被害にあっていたら、宮崎県消費生活センターへの相談をすすめる

→窓口を訪問するときは家族や支援者が付き添うことも可能。もし相談を望まない場合には、家族や地域の人たちで高齢者を見守る。 

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 高齢者を見守る上での注意点として宇土先生は、「決して怒らないようにして下さい。”だまされた方も悪い”という考え方もありますが、だます方は仕事でだましています。考えていますし、巧妙化しています。たとえば昨年度から多くなってきた『送りつけ商法』は、健康食品などを代金引換で送ってくるのですが、それを断るとやり方をかえてきました。『損害賠償請求書』を送りつけて『払え』と言ってきたのです。それも無視していると、商品の中に現金書留封筒を入れて送りつけ、その後電話、さらには電報で『払え』と催促するようになりました。このように、何とかしてお金を取ろうとしてきます。ですから被害にあっている人を怒らないように、腹を立てないようにして下さい」と、高齢者の立場に配慮した冷静な対応が大事であることを指摘しました。

(つづく)

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