九州大会開きました(その7)

2013年11月27日|

【他職種連携・胃瘻から脱却した症例】

 

 続いて多職種が連携し、胃瘻をやめて口から食べるようにした取り組みを通じて、高齢者が心も元気になった症例が紹介されました。これはNPO法人ホームホスピス宮崎が運営している、末期患者向けホームホスピス「かあさんの家」で宇都先生が関わった3人の入居者についての事例です。

 開口一番、「一人では無理」と強調した宇都先生、主治医や歯科医、歯科衛生士、訪問看護師、訪問リハビリ(PT)、ヘルパー、福祉用具会社関係者、そして家族が一堂に集まり、「口から食事をするためのカンファレンス」を開催。家族の思いや介護現場での葛藤、主治医の見解など、各人が意見を出し合い、「人間が食べられなくなる、老いていくプロセスをどう受け止めていくか」ということについて真剣に議論。そして実際に評価し、食事の工夫や口腔ケア、嚥下訓練等を実践。そして再評価と問題点の抽出、ゴールの設定等を繰り返した結果、それぞれが口から食べる喜びを取り戻しただけでなく、寝たきりだった状態から歩行が可能になるまで身体能力が回復、排泄もオムツからトイレでできるようになりました。その上、会話もできるようになったり、外出して花見を楽しむなど、生きる喜びを取り戻したことなどがビデオや写真を使って紹介されると、会場からは驚きの声が上がっていました。

 まとめとして、(1)経口摂取はADLの向上に寄与する、(2)多職種の顔の見える連携が必要である(成功体験で多職種に意識が向上し、「またやろう!」という気になる)、(3)マンパワーが必要、(4)在宅でのリスク管理は重要、(5)家族へのインフォームドコンセントが鍵となる、(6)安全にかつ楽しく食べるには口腔ケアは重要、(7)胃ろう造設の際は医療者側、患者側も深く考える事が必要ではないか、(8)造設後も経口摂取へと戻す可能性を模索する事が大切ではないか?・・・の8項目を提起し、講演を締めくくった宇都先生に、会場からは割れんばかりの拍手が送られました。

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(つづく)

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