研究大会開きました(その7)

2014年5月6日|

【本間達也先生特別講演(4)

 

食事についてですが、大変苦労しました。放射能の影響を恐れ、トラックの運転手が運動を拒否するなどの事態が起こり、物流が途絶えて食材などが入ってきませんでした。まず考えたのは、内科医とも相談してカロリー制限を強制的にやりました。当時家族は自分の家がむちゃくちゃになっているので、利用者を見る余裕がありませんでした。家族に連絡すると「おまかせします」と文句を言う人は誰もいませんでした。また、それまで通所リハビリテーションで来ていた30数名の利用者が震災当日から即入所になりました。

断水によって食器が洗えないことや洗剤が入手困難なため、使用枚数を減らすためワンプレート式にしました。またエレベーターが止まったため、人海戦術で暗い中を階段で食事を運ばなければならなかったため、運びやすい利点もありました。

次に電話回線についてですが、震度6程度の地震の場合、携帯電話も固定電話も混線します。基地局がやられるとメールでのやりとりもできません。このように電話での連絡が困難になることは、全老健のリスクマネジャー養成講座で学んでいました。『資格指定テキスト自然災害リスク編』を参考に、内規を作成し、一定の条件の下でスタッフが参集するように取り決めをしたことで、混乱無く非常時の対応を統一することができました。

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各施設で消防訓練を必ずやると思いますが、その際に併せてこのような事態を想定した訓練を行っておくとよいと思います。消防訓練の実施は義務づけられており、消防署の人も来ますので、その時には地元の消防団の人も呼んで自分たちでも訓練をすると良いと思います。

 それから飲料水やオムツなどの衛生保清材料、医薬品、清拭用タオルなど、不足した物資が届いてきました。しかし、例えば点滴のボトルだけがきて、補液のセットがなくて使い物にならない、ということもありました。また、「福島県老人保健施設協会」宛てに当施設に物資が来るので、通所リハビリテーションのスペースが救援物資で一杯になりました。そこでどうしようもなくなり、通れる道路を確保して、県内各支部から取りに来てもらうという形にしました。

(つづく)

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