研究大会開きました(その8)

2014年5月7日|

【本間達也先生特別講演(5)

 

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半月経ったとき、蛇口から出る水の勢いが弱い事に気づきました。井戸水を使用している施設の給水圧が弱くなったわけです。おかしいと思って外周を点検したところ、なんとメインの水道管から分かれている副枝管が破損しており、温泉の水がわき出るようにぼこぼこ漏れ出ていたのです。本震後も度重なる余震が続き、気象庁の発表によれば、震度4以上のものが831日までに200回発生していたのですが、そのため配管がずれてひびが入り、破損して漏水して圧が下がったのでした。皆さんの施設でもこういう事態が起こったときは事務系の管理職だけじゃなく、みんなで考えられた方がいいです。

エアコンも全部取り替えました。しかし去年の暮れ頃、どうしても温かくならなないので、もしかしたら、と思ったらやはり配管に亀裂が入っていました。今でも余震が多いので亀裂が入り、暖房の爆発漏れがあったのです。日本は地震大国で、どこでもこういうことになると思うので、こういう視点も必要だと思います。

 スライドは私たちの施設の擁壁の写真です。8メートルあり、この擁壁の中にある水抜き穴を点検したところ、雑草が生えていました。通常の施設管理で草などが生えていないか点検し、水はけを良くしておかないと、水害の時に水の出口がなくなって中でどろどろの状態になってしまうそうです。そのため震災後からは必ず毎月のレセプト点検に併せて施設を巡回し、点検するようにしています。

 市内の高等学校に設けられた震災発生後1週間前後の避難所の様子を映していますが、原発の地区から高等学校に自衛隊のトラックで虚弱高齢者が移送されてきました。市の医師会から私たちに要請があり、「虚弱高齢者の人たちを老健協会でなんとかしてほしい。そのほかの避難所の人たちは我々が対応するが、虚弱高齢者の医療ケアはできかねるから」とのことでした。そこで協会のメンバーが集まって各避難所を見に行ったら悲惨な状況でした。ほとんどの人が肺炎や脱水をおこしつつあるという緊迫した状態でした。

  そこで各老健施設で割り当てして、1施設につき3人から5人くらいを毎日運び、各施設で緊急的に入所してもらうということをやりました。被災している地区のケアマネージャーはやりくりが大変だったと思います。

 家具などの転倒や落下防止のために突っ張り棒を活用し、高さのある家具などはなるべく壁に接する位置に設置しました。また、家具や棚が転倒して通路を塞いでしまわないよう、廊下や出入り口付近への設置は控えるようにしています。

そして、私たちの施設では正面玄関入り口に非常時持ち出し袋を設置し、職員のだれもがわかるようにしています。このことは家族や面会者に対しても、「施設として非常時の備えがとられている」と認識してもらうことにもつながっています。

(つづく)

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