改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その9)

2014年12月5日|

 この「介護報酬6%減」に関しては、「介護職の処遇改善交付金のアップも言われているが、介護報酬が下がると言われている中で、本当に職員の処遇改善につながるのか?」という事前質問が寄せられていました。これに対して菊地雅洋先生は次のように回答しました。

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 「スライドに『27年度介護報酬改定とその他の充実策(現時点で想定される全体像のイメージ)』というのを出しています。これは財務省が出しているものですが、介護報酬(良好な収支差等を反映した介護報酬の基本部分の適正化、保険給付の範囲の見直し等)はマイナスになっていますが、介護職員の処遇改善(処遇改善加算の拡充)はプラスになっています。しかしこれは加算をもらった以上にこちらが出して初めて加算算定ができるわけです。そうすると、『事業が苦しくなっても加算は別だからその分だけ職員にやる』というところはあるかもしれなませんが、『持ち出しがあるのだったら、加算をもらっても収益にはならないからいっそのこと算定しない。だから給料は上げられない』という事業所はたくさん出てくるだろうし、もし加算するとしても今の職員配置では苦しくて経営していけないから、給料は高くするけど現場から人を減らすということになってきます。どちらがいいでしょうか。どちらもいやですよね。やはりきちんと安定経営できるだけの報酬をもらって、加算もしていくべきです。介護職員だけでなく他の職員も含めてまだまだ他の職業と比べて待遇差があると言われていますので、長年そこで働いて、結婚してお子さんを設け、つましくとも家族を扶養できるようなきちんとした待遇にしていかないとだめじゃないでしょうか。それを今やっている最中なのに、介護報酬減はその足かせになると思います」。

 続いて「次期制度改正に向けた論点」(「社会保障?(総論、医療・介護、子育て支援)平成2610月8日(水)財務省主計局」より)というスライドを示して、次のように言及しました。

 「訪問介護や通所介護の予防給付について地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを行っているわけですが、【今後の介護保険制度の課題】の中では、それ以外の予防給付についても『地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを行っていくべきではないか』とちゃんと書いてあります。さらに恐ろしいのは、『在宅サービスについては、事業者の自由な参入を引き続き認めていくことを前提とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築するべきではないか』と書いてあります。これはどういう意味かわかりますか。公定費用で私たちはサービスを提供して1割負担をもらっていますよね。それを『もっとダンピングして公費を使わないようにするような価格競争のシステムにしていかないから財源がなくなるのだ』という、とても乱暴な理論です。しかしこれは次期制度に向けて既にこうやって書かれているわけです」と、今後の改定内容によっては、更なる報酬減の可能性があることを示唆しました。

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