キャリアアップ研修(基礎研修)開きました(県委託事業:その1)

2017年2月17日|

 当協会が県の地域医療介護総合確保基金にかかる介護人材確保推進事業として、宮崎県の委託を受けて昨年度から実施している「平成28年度キャリアアップ研修」。8日の「中堅者研修」、午後からの」「管理者研修」に続き9日は「基礎研修」午前・午後を通じて行われました。37人が受講しました。

001CIMG2219 午前中はまず「接遇・傾聴から見る働きやすい職場作り」と題し、介護老人保健施設おびの里の宮田 啓吾さんが講義を行いました。(1)介護現場での接遇・傾聴の必要性を理解する、(2)働きやすいとは何かを共有しあい共感できる仲間を作る、(3)働きやすい職場とは何かを考えるきっかけを作る・・・の3つを研修のねらいとし、学んでいきました。

 「人に近づく」を意味する「接」、そして「もてなす」を表す「遇」からなる「接遇」は「おもてなしの心を持って相手に接する」という意味。介護の現場において接遇は利用者や家族との距離を縮め、安心や信頼を得るための大切なツールであり、ひとりひとりの満足度に直接つながる重要なものとして、接遇のポイントである「挨拶」、「言葉づかい」、「聞く姿勢」、「お辞儀」、「身だしなみ」の5項目について説明がありました。002CIMG2223

 そして介護現場で重視される傾聴の目的やルール、ホスピタリティとおもてなしの関係などについて解説があり、まとめとして(1)利用者に対しても、職員に対しても思いやる心が大事、(2)職場においては言えない環境ではなく言える環境を作ることが大事、(3)働きやすい職場を作れるのはみなさんの力次第・・・の3項目を提示した上、で宮田さんがおびの里での接遇改善目標である「いつでも、どこでも誰にでも笑顔で挨拶。お名前も添えて」、「身だしなみチェックが、仕事のスタート」、「『です』『ます』の言葉づかいで、丁寧に」・・・を紹介すると、受講者は明日からの業務の中で実践しようと真剣に耳を傾けていました。

 続いての講義は「認知症を考える~その人に寄り添うケア~」。講師は介護老人保健施設みずほの山田 美邦さん。(1)認知症という病気について、(2)認知症の「人」について、(3)現在取り組まれている認知症ケア・・・という3つのテーマに沿って講義が進められました。

 003CIMG2229認知症の定義にはじまり中核症状と周辺症状の関係を説明する中で脳の障害で生じ、必ず見られる中核症状に対し、中核症状を基盤に心身のストレスが加わることで引き起こされる周辺症状は、周囲の支援で良くなったりひどくなったりするとのこと。不安や焦燥、混乱などを抱える認知症の人に対し、介護者が不安や不満、いらつき、負担などを感じながら不適切な対応をすると、周辺症状は悪化の一途をたどる悪循環に陥ることから、周辺症状に対する適切な対応が重要であることを学びました。

 そして介護者は(1)傾聴する、(2)共感する、(3)受容する、(4)触れる、(5)ペースをあわせる、(6)五感を使ったコミュニケーション・・・の5項目を気にかけ、満足、安心、やりがい、落ち着きなどをもって適切な対応をすることで、認知症の人は安心感、充足感、満足感などが得られストレスが解消。徐々に周辺症状が減っていき。それを目の当たりにすることで介護者のやりがいにもつながるとのことでした。

 続いてみずほで実践している認知症ケアの実際について、事例を交えながら紹介がありました。利用者個人に合わせたケアを6ヶ月間取り組む中で、不穏や昼夜逆転、幻視・幻聴がなくなり、意思疎通がはかれるようになるとともに、歩行能力の向上や箸を使用した常食の自力摂取も可能になるなどの目まぐるしい成果が現れ、本人や家族から大変喜ばれたことが紹介されると、受講者は高い関心を払って聞き入っていました。004CIMG2227

(つづく)

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