介護報酬改定対セミナー開きました(事務長会:その2)

2017年3月9日|

 「介護保険制度の見直しに関し、最大の問題点は財政的インセンティブ付与です」と小濱介護経営事務所の代表、小濱道博先生は会場を見渡しながら話しました。「介護保険制度の見直しに関する意見(概要)平成28年12月9日」というスライドをもとに「一年間に認定が更新された利用者のうち、介護度が一定以上いるなど成果を出した市町村には国から補助金がもらえるわけです。どこの市町村も補助金はほしい。そのためにはどうするかというと、介護度を下げればいいわけです。懸念されるのは認定基準を厳しくするということです。これは何年も前から指摘されていたのですが、全国の市町村で重度の認定を受けやすいところもあれば、受けにくい市町村もあるなどバラバラです。介護度が下がれば補助金がもらえるわけですから認定基準が厳しくなることが想定されます。それだけでなく介護給付総額が減ることも評価対象とされます。ということは実地指導が厳しくなるということです」との見解を示しました。

 また昨年8月31日に開かれた第62回社会保障審議会介護保険部会の中でデイケアとデイサービスの一体化に関する言及があり、結果として一体化は困難となったことに触れ、「なぜこの話が出たかというと、両者の違いがわかりにくいわけです。居宅のケアマネジャーもわからなくなっています。介護報酬はデイケアが高いので安いデイサービスで十分だ、とデイケアに回さないということもあります」と述べ、今回の見直しでデイケアにおけるリハビリテーション専門職の配置促進や短時間のサービス提供の充実が検討されていることが説明されました。そして現在(Ⅰ)と(Ⅱ)があるリハビリエーション加算については「将来的には加算(Ⅱ)に一本化されます。それなら加算(Ⅱ)をとらなければいい、というわけにはいきません。リハビリテーション加算(Ⅱ)がとれないと他の加算はほとんどとれなくなると思います」とし、さらに「医療保険のデイケアは2時間が多いのに、なぜ介護保険のデイケアは6時間から8時間が多いのか?ということで、デイケアは短時間のものにシフトされていくことが想定されます。短時間の報酬をアップし、長時間は引き下げられます。一気に6~8時間をなくしはしないでしょうが不利になると思います。時間区分を設けてリハビリは特化され、結果主義になるでしょう。半年で成果を出して卒業してもらい社会参加、というのが重視されると思います」と続け、生活行為向上リハビリテーション加算についても「次の改正でとらないとまずいな、ということになります」と述べました。

 さらに在宅強化型老健への取り組みについても「介護報酬はできたときにはとらなくてもいいが、次の時に厳しくなり、その次でさらに厳しくなります。30年の改定ではとらないと厳しいかな、ということになりますので、強化型をとることが急務になっています」と会場を見渡しながら強調しました。

(つづく)

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