「遅寝遅起き」の記事を読んで
8月3日付けの宮崎日日新聞。「遅寝遅起き不眠に効果」という記事が目を引きました。健康的生活リズムの代名詞のように考えていた「早寝早起き」ではなく、「遅寝遅起き」や、適度な運動が不眠に効果があるのだそうです。
記事は、睡眠外来専門の「スリープクリニック調布」の遠藤拓郎院長の話が紹介してありました。それによると、加齢に伴い、深い睡眠が減り、浅い睡眠が増えて眠りが浅くなり、小さな物音や尿意で目が覚めてしまうようになるのだそうです。その対策として、次のようなアドバイスが載っていました。
(1)運動など、その人にとって心地いい活動を昼間にすることが、より深く質の良い睡眠につながる
(2)午前0時から6時を中心に寝ると、脳と体のメンテナンスがよくできるので、年をとったらこの時間帯を中心に『遅寝遅起き』をするのが向いている
うーん、これは考えさせられます。特に(2)の「午前0時から6時を中心に寝る」ということ。午前0時に消灯、就寝を取り入れている老健施設はあまりないのではないでしょうか。利用者様によりよい睡眠をとってもらうため、「遅寝遅起き」に取り組むとすれば、晩御飯をとる時間帯を検討するとともに、食べた後から寝るまでの時間をいかに有意義に過ごしてもらうか、ということも考えなくてはならないと思いました。
また、記事は国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の三島和夫精神生理研究部長らによる調査結果も掲載されていました。それによると、不眠症になっている場合は、
(1)早く寝すぎる
(2)長く寝すぎる
(3)読書やテレビ視聴など、床に入ってから何かしている
(4)1時間を超える昼寝をしている
など、就寝に仕方にも問題があるとのことでした。
これを(1)から(4)のを次のように読み替えてみて、はっとしました。
(一)早く寝かせすぎる
(二)長く寝かせすぎる
(三)読書やテレビ視聴など、床に入ってから何かさせている
(四)1時間を超える昼寝をさせている
いかがでしょう?心当たりはないでしょうか?この記事の冒頭には「年をとってくると、『眠る力』が落ちてくる」とありました。高齢者のケアを専門に提供する介護老人保健施設に勤める者の一人として、利用者様それぞれの日常生活活動(ADL)を評価しますが、食事、入浴、排泄などに加えて、「睡眠」を評価項目として取り上げ、その質の向上に真剣に取り組む必要があるのではないか?と考えさせられてしまった記事でした。