研究大会開きました(その14)
【本間達也先生特別講演(11)】
リスクマネジメントは、「事」が起こるのを予防するのも重要ですが、「事」が起こったあと、適切に対応することも重要です。その要点として次の3つがあります。
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1.事故、問題回避の対策
〇予測できる事故を予防する方法(業務改善、環境整備、職員教育、ほか)
〇説明と同意
〇事故防止策の作成
2.事故、問題発生時の対策
〇迅速で適切な対処と報告
〇組織としての対応システムの確立
3.事故、問題発生後の対策
〇家族への連絡と説明
〇事故報告書の提出と活用
〇解決策の検討(法律的支援・謝罪・補償・その他)
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このようにしてリスクマネジメントへ取り組んで行く上では、組織全体として取り組むことが重要です。その中で、職員ひとりひとりの意識改革や教育をはかることが大切ですし、特に「長」の意識改革も必要だと言えます。
スライドに「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」を示しています。これはいろいろなところで出てくる法則ですが、1の重傷者がいると、29の軽傷者、300の無傷災害があり、それでもまだこれらは氷山の一角で、不安全行為や不安全状態が水面下にあるということです。ですから、「ひやり・はっと報告書」が必要です。各施設でどんどん出して欲しいと思います。現場だけでなく事務部門からも出していくべきだと思います。
個人情報保護に関して、たとえばボロボロで抜け落ちそうなカルテや日報があったとします。その中の1枚が金曜日に抜け落ちて、土曜日に全然違う家族や利用者がそれを拾って見たらどうなるか?明らかに個人情報保護に抵触します。管理者の人はこういうところに注意を払わないといけません。
老健施設における事故について、全老健が調べた「平成13年度『介護老人保健施設におけるリスクマネジメントのあり方に関する調査研究事業報告書』」によれば、転倒・転落が73.3%と圧倒的に多いです。また生命に関わる事故としては、誤嚥・誤飲、溺水(入浴時)、離苑などがあります。
それでは苦情についてはどうかというと、同報告書によると看護・介護職員に関するものが残念ですが55.4%と半分以上です。次いで生活サービスについて(48%)、通所リハビリサービスについて(25.4%)と続きますが、この順序はここ数年変わっていません。