感染症対策学びました(看護介護部会:その8)
「嘔吐(おうと)物が1メートルの高さから落下すると、嘔吐物は半径約2メートルまで飛び散ります」と、その実験結果をスライドで示した宮崎県福祉保健部健康増進課兼小林保健所の主査で医師の西田敏秀先生。「嘔吐物セット」の準備の必要性を訴えました。
《嘔吐物セットの内容》
〇塩素系漂白剤
〇ペットボトル(500ミリリットル)
※↑0.1%濃度に調整した消毒薬を作る時に使用
〇ペーパータオル
〇新聞紙
〇使い捨てビニールエプロン
〇使い捨てマスク
〇使い捨て手袋
〇ビニール袋
〇バケツ
「いざというときに、ちゃんと要しておかないといけません。”あれはここだ、これはどこだ?”などとやっていると、いつまでたっても処理しませんし、『ここは立ち入り禁止です』と言っていても、誰かが入ってきてしまいます。すぐ対処できるように要しておいて下さい」と言い添えた後、「ただし、”作った、じゃあ安心”ではいけません」とし、「作ったら、皆が嘔吐物セットはどこにあるかを知っておかなければいけません」と続けました。
実際の嘔吐物処理にあたっては、次のようなポイントを学びました。
(1)だれかのためではなく、自分のみを守るために手袋、マスク、エプロンを着用する。特に脱ぎ方が重要で、手袋→エプロン→マスクの順に脱ぎ、最期に石けんと流水で手洗いを行う。手袋や万全ではないことに注意。
(2)二次感染の防止に努める。ウイルスは広く飛散(半径約2メートル)し、乾燥すると空気中に浮遊する。十分な換気、立ち入りの制限、広範囲の消毒が必要で、迅速かつ確実な処理が求められる。
(3)汚染を広げないために、拭き取りは外側から内側に静かに行って閉じ込める。同一面でこすると汚染を広げるので。要注意。
(4)手袋の外側は全部汚染されているので触れないように。「片方の手袋の袖口をつかむ→手袋を裏表逆になるように外す→手袋を外した手を反対の手袋の袖口に差し込む→手袋を裏表逆になるように外す→手袋を外した後は手指衛生を行う」の手順で。
(5)ディスポエプロンは前が汚れている。首のひもを引っ張り、そのまま前に脱ぎ、内側から丸めて腰ひもをひっぱり廃棄する。ディスポエプロンはコストがかかるので、品不足の時には市販の透明ゴミ袋を備蓄しておくといい。ネットに作り方が紹介されている(検索したところ、以下のホームページが見つかりましたのでご参照下さい)。
(札幌市東区保健福祉部健康・子ども課生活衛生係作成のマニュアル「防ごう!ノロウイルス」:最後のページ)
(相模原市健康福祉局保健所疾病対策課作成「ノロウイルス感染対策マニュアル」:18ページ)