認知症の方の権利擁護学びました(看護・介護部会:その3)

2015年3月18日|

社会福祉法人凌雲堂特別養護老人ホームしらふじの施設長、浜砂貴美子先生による「認知症の方の権利擁護」の講義。「擁護すべき『権利』とは人権」として、そのベースとなる日本国憲法から始まりました。スライドに「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国民に与えられる」という日本国憲法第3章第11条を示し、「人権は認知症や障害のある方にも、平等に保障されていて侵すことはできません。しかし、どうしても現実的にはハラスメントや暴力を、そして差別や偏見を受けています。私たちと同等に権利は保障されていますが、自分の主張ができないことがあります。そういう人たちの権利をベースに考えないと、虐待につながります」と切り出しました。

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 また、同第13条(幸福追求権)の「すべて国民は個人として尊重される。生命、自由および幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」を示し、「個人がベースになります。個人の幸福追求に対する権利は最大の尊重が必要です。そして個人として尊重されるということは障害や認知症などは関係なく、『一人のひととしての尊厳を保持することが大事』ということであり、その事が憲法でうたわれています」と言い添えました。

 これを踏まえて、介護保険法第1章第1条に「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」と、介護保険制度が利用者の尊厳ある暮らしを保持することが目的であることを指摘。その上で「しかし、マスコミなどでも取り上げられている通り、なかなか介護の現場では個人の尊厳がないがしろにされていることが多いのが実情です。職員がそのつもりではなくても虐待になっていることがあります。たとえば利用者を『〇〇ちゃん』とちゃん付けで呼ぶ職員がいます。双方合意の上ならいいかもしれませんが、職員が勝手に親しみをもって『〇〇ちゃん』と呼ぶと、利用者はいやかもしれません。それは職員の一方的な思い込みであり、利用者の尊厳を傷つけていることになります。また『忙しいから』と、業務を優先して個人の尊厳はないがしろにしてしまうこともあります。それは職員の自分中心の考えで、利用者の尊厳ではありません。普段の自分たちのあるべき姿を、介護保険制度や憲法をもとに考えて下さい」と、具体例を挙げて説明すると、受講者は自らの言動を振り返りながら聞き入っていました。

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(つづく)

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