Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その6)

2015年10月15日|

 最近報道などでその様子が映像付きで伝えられ、社会的な問題となっている高齢者施設での虐待に関し「皆が『あそこまでひどいのは見たことがない』と言いますが、そういう時僕は質問します『それではどこまで許されるのか』と」。

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 このように話しながら、特別養護老人ホーム緑風園の総合施設長、菊地雅洋先生は「介護サービスの現場で、一番欠けている教育とは何か?」というスライドを示しながら、次のように続けました。

 「(どこまで許されるのか)線引きはできません。唯一線引きできるとしたら、我々はお客様に対してプロとしてサービス提供しているのだから、『お客様に対して接客としてふさわしい態度であるのかどうか』というところです。それを『生活支援なのだから”接客”というのを意識しすぎると壁ができて敷居が高くなる』などと言うのは言い訳にしか過ぎません。我々は適切な接客態度をもって接していかないと、(報道されているような施設での虐待と)同じようなことになってしまいます。『利用者は単なるユーザーではなく、”お客様”であるということをきちんと意識しないと、『くだけた態度で親しみやすく接する』などという言い訳で、『無礼な馴れ馴れしい態度』が横行しているのが医療と介護の世界です。元々医療の側が悪いと思いますが、それを我々介護がいつまでも背負っていかないで、介護の現場からここを改革していかないと、『支援という名の支配』がいつまでも続いてしまうと思います。『無礼な馴れ馴れしい態度』などというのは必要としません」。

 このような態度をなくすために、菊地先生は20年以上前から提唱しているのが「介護現場の割れ窓理論」。

(※「割れ窓理論(Broken Windows
Theory
)」は、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング(英語版)が考案した。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方からこの名がある。以上『ウィキペディア』より引用)

 「『割れ窓理論』では、建物全体が崩壊し、さらに地域が荒れてしまわないように、まず『割れ窓』のできたところからひとつひとつきちんと窓ガラスを替えていきましょう、という理論です。そして介護サービスで言えばそれは『言葉』だというのが『介護現場の割れ窓理論』です」と述べ、「割れ窓理論」の実証として、地下鉄の犯罪発生率の高かったニューヨークで、その対策としてプラットホームの電球を明るく綺麗にし、車輌いっぱいに描かれていた落書きを消し続けた結果、犯罪発生率が下がってきたことを紹介した上で、「それを考えると、我々の言葉遣いをきちんと正しいものにしていく事が大切だと思います」と述べた菊地先生は、

(1)割れた窓を放置しておくと、割られる窓が増え建物全体が荒廃していく

(2)介護現場の割れ窓は「言葉」である

(3)言葉の乱れが常識ではない感覚麻痺を促進させ虐待につながる

(4)言葉を正しくすることで心の乱れをある程度までは防ぐ効果もある

4つをスライドに示し、介護現場における「割れ窓」にあたり、その乱れが利用者への虐待、ひいては施設の荒廃、崩壊につながりかねない「言葉」に関し、利用者に対する丁寧な言葉遣いが極めて重要であることを強調しました。

←「その5」に戻る)             (つづく

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