高齢者に多い事件・事故学びました(支援&在宅部会合同研修会:その2)

2017年2月7日|

  (2)高齢者の事件・事故の実態については、少子高齢化が進展の一途をたどる中、一般刑法犯が平成14年をピークに減少している一方で、高齢者の増加率は大きくなっているとのこと。具体的には平成9年と平成19年における犯罪をした高齢者の数を比較すると、60歳代が2.5倍、70歳以上では4.6倍となっており、「全体の犯罪が下がっていく中で、高齢者が犯罪に関わっていることが多くなっていく事が予測されています」と山路先生はスライドを示しながら説明しました。001IMG_9811

 そして「高齢者で初めて犯罪をおかす人」は53.2パーセント、その中で何度も犯罪を繰り返す「再犯」は2.6パーセント。「高齢者はそれまでまじめに生活してきた人が多い中で、はじめて犯罪をやってしまう。そして2度と二度と犯罪を起こさないという傾向があります。また検挙された人で罪が軽いと罰金とか起訴猶予になりますが、それが71.9パーセント。つまり高齢者の方を総括して言うと、『初めて犯罪する人が多く、繰り返す人は少ない。刑務所に入らず罰金刑などの軽い処罰を受けてしまう人がほとんど』ということです」と、高齢者がおかす犯罪の傾向をスライドで事例を紹介しながら解説しました。

 さらに高齢者による万引きに関し、「私が経験した中でもかなり増えてきています」と前置きし、「かなりお金をもった方が実行するというのが特徴的な傾向です。『お金がないから』、『食べるものがないから』ではありません。子どもの万引きの場合、遊び感覚がやるのがほとんどですが、高齢者の場合、社会との関連性や家族との関連性が疎遠になり、自分自身が孤独に陥ったときにスリルを覚えるためにやると言う傾向があると思います」と話すと、受講者は地域社会や家庭で高齢者を孤立させないために老健施設が果たすべき役割の重要性を再確認しながら聞き入っていました。002IMG_9820

(つづく)

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