高齢者に多い事件・事故学びました(支援&在宅部会合同研修会:その4)

2017年2月9日|

 研修会も終盤にさしかかり、(4)具体的事例の紹介と対応策に移りました。事例は「(交通)事故」、「詐欺被害」、「施設事故」、「その他」の4つが上げられました。

 その中で交通事故については10万人当たりの事故発生率は20歳以上65歳未満が3.7人であるのに対し、65歳以上の高齢者では10.6人、約3倍に増えるとのことでした。山路英敏先生は「65歳以上になると事故の発生率が高くなるのではないかと思います。ですから皆様が高齢者のいる家庭を回られる時には運転免許証の有無や自動車に傷が入っていないかなどを確認していただくと、悲惨な事故が減るのではないかと思います」と参加者に呼びかけました。001IMG_9831

 さらに「横断中の事故が多い」と指摘。高齢者の事故の特徴として(1)高齢者は体力が衰えている一方で、昔の(身体能力の)感覚が優先される、(2)そのため左側から車が来ていても「これくらいなら渡れる」と判断して渡りはじめる(しかし身体がついていかない)、(3)そのため間に合わず車が来てぶつかる、(4)このようなことから渡り初めの事故ではなく渡り終える時の事故(=左から来た車にぶつかる)が多い・・・の4つを上げました。

 また夜間の自動車走行でライトを下げている場合、40メートルしか見えないことを踏まえ、高齢者には目立ちやすい服を着ることや反射テープを着けることを勧めるよう参加者に促しました。

 そして「大事なこと」として「死亡事故は非常に減ってきていますが、これはあくまでも『24時間以内に死んだ人』をカウントしているわけです。今は車の性能が良くなっていますし、医療技術も発達しています。そうすると24時間以上経って亡くなった方は死亡者としてカウントされていないわけです。24時間以上経過して亡くなった方も加えるとまだ多くなるのではないかと思います」と統計上の問題を指摘しました。さらに「高齢者の場合は交通事故による怪我そのものよりも、既に持っている病気などの関係でそれが重篤化することが予想されます。すると思ったよりも長期入院となってしまいます。やはり高齢者も自分の身は自分で守ることが大事であり、回りの方々も気をつけるように注意を促していただけると良いと思います」と説明すると、参加者は身を引き締めて聞いていました。002IMG_9838

 一方65歳以上の高齢者自らが運転して事故を起こす場合、「市街地よりも郊外の事故が多い(高齢者はあまり混雑した所は運転したくないため)」、「夜間よりも昼間の事故が多い(暗い時は恐いので明るいうちに動きたいと考えるため)」といった傾向があることなどを学びました。

(つづく)

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