高齢者に多い事件・事故学びました(支援&在宅部会合同研修会:その5)

2017年2月10日|

001IMG_9828  (4)具体的事例と対応策の講義は交通事故に続き、「詐欺被害」、「施設事故」、「その他」について説明がありました。「詐欺被害」に関して講師の元警視 宮崎県警察本部 生活安全部参事官 兼 特別機動警察隊長の山路 英敏先生は、ご自身が警察署長を務めていた際に続発した不当な訪問販売の事例を紹介しました。犯人は一人暮らしの高齢者宅ばかりを狙い訪問。「屋根が傷んでいたので修理しました(実際にはどこも傷んでいないし修理もしていない)」と修理代をだまし取るという手口だったとのこと。結局その犯人は検挙されたのですが、「犯人を特定し、検挙できた突破口となったのは、しっかりした高齢者がおられて、領収書を書いてもらっていたからでした」と、社会常識として領収書をもらうよう高齢者に注意を喚起するよう参加者に呼びかけました。

 「施設管理」に関しては山路先生が鑑識課長をされていた時、コンセントにかぶったホコリが原因で火災になった事例を紹介し、施設管理にあたっては電気のたこ足配線やガス設備との距離などに注意すること、またそれらが原因となって起こる火災には避難誘導などの対策も含めて取り組みを徹底するよう強調しました。003IMG_9834

 最後に山路先生は「高齢者を事件・事故から守るための提言」として次の項目を示しながら「できるだけその人の顔を見て、声を聞いて下さい」と言い添えました。

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【高齢者を事件・事故から守るための提言】

◆《事件》

 (1)コミュニケーションの醸成(言葉を交わす)

 (2)事件化に向けた証拠の収集

 (3)関係機関との連携(警察、消費生活センターなど)

◆《事故》

 (a)シミュレーションの構築

 (b)情報の収集と共有化

 (c)こまめな記録化

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 そして山路先生は「この中の『(2)事件化に向けた証拠の収集』についてひとつ紹介したいと思います」と言いながらとった行動は参加者を驚かせました。002IMG_9871

 講演の冒頭「私は時間を守りたいと思いますので、念のために時計を置いておきます」と参加者に向けて置いた時計(?)を取り上げると「これは何だと思いますか?時計だと思いますか?」と問いかけたのです。唖然とする参加者に山路先生は「これは録画も録音もできます。こういうものでしっかり記録しておくことは、何かあったときに自分たちの身を守ることになります。言葉で説明するよりも画像がある方が強いです」と付言し、客観性のある正確な記録が自己を守る重要な手段となることを、道具を用いて示しました。

 講演の最後に山路先生は「法の無知は無罪にあらず」、「組織内での情報共有と共助が不可欠」、「『悩み』は初期的段階での解決が重要」とスライドに示し、「何よりも自覚を。皆様が色々なものを検討し、相談し情報を共有化し、そしてグッズも使いながら高齢者の事件や事故から身を守って下さい。併せて自分たちの身も守って下さい」と呼びかけて締めくくると、会場からは感謝の拍手がおくられました。004IMG_9858

 施設内はもとより、様々な生活場面で生じる高齢者が関わる事件や事故の実際を知るとともに、それらにどう対応していくかを具体例やグッズなどを用いて非常にわかりやすい説明があり、明日からの業務に役立つ大変有意義な研修会となりました。

(おわり)

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