開催しました!「九州大会inみやざき」(その25)
琉球大学病院地域・国際医療部の臨床倫理士、金城隆展先生の市民公開講座「自分のものがたりとして考えるACP」もいよいよ終わりを迎えました。
「残された人の人生を支えるために話し合いを今からしておくこと、日々の選択の中でそれを積み重ねていかないとその影響力は残りません」と日々の選択の重要性をおさらいした金城先生。スライドに沖縄の澄み渡る青い海と青い空が映し出すと、その美しい光景に参加者は目を奪われました。「私は沖縄から来ていますので、最後に沖縄の風を届けたいと思います」と言い、次の世代に伝えていきたい沖縄の道徳である「平和と文化をこよなく愛するこころ」、「共に生き共に死する思想・命どう宝(ぬちどぅたから)」、「他人の心を思いやる肝ごころの文化」などを紹介しつつ、「今日、皆さんに考えていただきたいのは、『ナンクルナイサ~』という言葉です。実は少々誤解されている言葉です」と切り出すと、参加者の表情には疑問符が浮かびました。そんな会場を見渡しながら金城先生は「『なんとかなるさ』という諦念文化、適当文化を表す言葉として理解されています。実際沖縄の人はそのように使っているところもあります。しかしこれは正しい使い方ではありません。正しくは『ナンクルナイサ』の前に『マクトゥソーケー』という接頭語がついて、これでワンセットの言葉です。これは『人として正しい事をしていれば、あとはなんとかなるさ。真面目でひたむき、真摯であれば、あとはなんとかなるさ』という意味です。ですから結果ではありません。『なんとかなるさ』のためには、日々の選択、それを正しく選んでいくこと、正しく生きる事が大事です。それをちゃんとやっていれば、あとはなんとかなるという意味です。つまり『日々の選択が大事』ということを言いたかったわけです。苦しいこと、悲しいことを受け入れ、くじけずに人として誠実に正しく生きる道を選ぶならば、その後はきっとうまくいくと信じて生きる。沖縄の人の倫理的な姿勢、生き方が『ナンクルナイサ』の本当の意味です」という説明を参加者は目から鱗が落ちる思いで聞き入りました。
(つづく)