細馬攻撃
これとは別に、「痩せ馬」という言葉も広辞苑にあります。「やせうま」と読みます。こっちの意味は「痩せて力の弱い馬」と記されています。なるほど、「細いこと」と、「痩せていること」とは、似て非なるものであるというわけですね。
このことは、マラソン選手のように、きっちり食べながらしっかり走り込んで、脂肪を削ぎ落としたスリムな身体と、運動せずに食べる量だけ減らし、脂肪も筋肉も代謝も落ちてゲッソリとした身体との対比にも通じるのかもしれません。老健には栄養部門とリハ部門の専門職がいます。利用者様に栄養と運動のバランスのとれた健康的な生活を送っていただけるよう、他部門のスタッフとも協業しながらトータルにアプローチしていくことが大事なのは、今さら言うまでもありません。
さて、表題の「細馬攻撃」というのは、これとはあまり関係ありません。企業や政界をはじめ、社会全体を脅かしている「サイバー攻撃」の話です。先日、携帯電話で銀行のネットバンキングのサイトにアクセスしたところ、「システム変更のため、URLが変更になりました」と表示され、新しいアドレスを登録しろとのこと。
「こっ、これは!巷で話題のフィッシング詐欺か!?あたかも本物のように思わせる偽サイトに誘導して、個人情報を盗み出そうというのか?まさか、銀行そのものが細馬攻撃、じゃなくてサイバー攻撃の被害遭ったのでは???」という疑念が沸々と湧いてきました。
心配になって、銀行のテレホンサービスセンターに確かめてみました。すると、「間違いありません」とのことで、一応ほっとしたのですが、便利になったネット社会の影に潜む危険性について考える、よい機会となりました。
馬の話からネットの話に急に飛んでしまいましたが、「あまり関係ない」と述べた通り、「全く関係がない」わけではありません。実は、初めてコンピュータウイルスの被害に遭ったのが、今は懐かしパソコン通信でダウンロードした「競馬ゲーム」を介してだったからです。
それは20年以上も前のこと。ウィンドウズなどはなく、MS-DOSの黒い画面上で、左から右に走るお馬さん達のどれが勝利するかを当てて楽しむ単純なゲームでした(実際のお金をかけるものではありませんので念のため)。電話回線を通じ、時間をかけてダウンロードした書籍ファイルを、解凍して使うというのが当時の主流でした。やっているうちに、パソコンの動作が段々重たくなってきたので、不思議に思っていたところ、感染に気付いたのです。常駐のウイルス対策ソフトなんて無かった時代。ウイルス感染を診断するプログラム(「ワクチンソフト」などと呼んでいました)の入ったフロッピーディスクを入手し、調べた結果判明したのでした。
感染したウイルスは、ハードディスク内にある色々なファイルのサイズを、それぞれ数百キロバイト(?)大きくしてしまうというだけの簡単なもの。それでも当時のハードディスクは40メガ。メモリも1メガバイトという、今では信じられないような少なさだったので、動作に影響が出てきたわけです。競馬ゲームを介してパソコンが被害を受けたので、これが本当の「細馬攻撃」かもしれません。
当時と比べてネット環境は飛躍的な進歩を遂げました。これと並行して、ネット犯罪も悪質に、しかも巧妙になってきました。ウイルス対策ソフトの導入はもちろんのこと、それを過信することなく、常に自衛の心掛けを忘れないことも大事だと、自戒の念を新たにした出来事でした。