「なんだろう?」が大事

2012年4月10日|

  46日の朝日新聞に「神経性激痛原因分子に”親分”」という記事が載っていました。けがや病気が治った後にも激しい痛みが残る「神経障害性疼痛(とうつう)」を引き起こすたんぱく質を、九州大学大学院の研究グループが明らかにした、という内容でした。世界で2千万人が苦しんでいるとされるこの痛みのメカニズムが解明されたことで、早くその治療法が確立されるといいと思いながら読みました。

 さて、その記事から目を下に移した次の瞬間、「なんじゃこりゃ?」としばしあっけにとられてしまいました。その記事には「ゴッホの”モコモコひまわり”謎解明」という見出しが立っていたのです。

 あのゴッホの名画「ひまわり」に登場するモコモコした花を咲かせる遺伝子を、米国の研究チームが特定したという内容でした。通常は褐色の中心を黄色の花びらが囲むのに対し、ゴッホの「ひまわり」には、黄色の花びらが全体に密集した「八重咲き型」も登場しており、その現象が起きる理由がこれまで謎だったのだそうです。

 研究チームでは掛け合わせや遺伝子解析を行い、その謎を解明したとのこと。その事自体、称讃に値するのですが、ゴッホの名画を単に「ああ、美しい絵だなあ」と鑑賞するのではなく、植物学的観点からとらえて、「このひまわり、普通のものとどこか違うんじゃないか?」と疑問を持つところがすごいと思いました。その一方で自らを省みたとき、ネット社会のまっただ中にいて、あまりにも多くの情報が溢れ、かつ簡単に入手できるため、それら一つ一つをじっくり吟味せず、鵜呑みにしているのではないか?と、考えてしまいました。

 「なんだろう?」、「なんでだろう?」と疑問を持つこと。これは研究の第一歩だと思います。私たち老健施設に勤める者にとってもこれは同じ事が言えるのではないでしょうか。日々何気なくこなしている業務や、目の前で起こっている様々なことに疑問を持つことが、ケアの向上や、利用者の生きがいの創出、そして私たち自身にとって、働くことの喜びにつながる第一歩になるのではないか?と思わされた”モコモコひまわり”の記事でした。

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