治にいて乱を忘れず

2011年8月2日|

  「平和な世の中を迎えたからといって、いつ戦争が起きるかわからないので、油断してはいけない。いつでも万一のときの用意を怠らないこと」という意味のことわざです。

 新潟県、富山県に甚大な被害をもたらした今回の豪雨は、7年前の大雨を上回り、観測記録を塗り替えるものとなりました。崩落した橋梁、寸断された道路、冠水した田畑、そして浸水した家屋・・・。影像で見てもそのすさまじさはひしひしと伝わりました。被害の全容が明らかになるには、まだ時間がかかりそうですが、復興にはさらに長い時間を要するものと思われます。

 これを見て思い出すのが、6年前、宮崎県に未曾有の被害をもたらし、各地に大きな傷跡を残した台風14号による記録的な大雨です。そのときは、台風が来る何日も前から激しい雨が降り続きました。北上の速度も遅く、河川の水位はどんどん上昇。濁流は瞬く間に堤防を乗り越えて町を襲いました。避難住民でごった返す高台の体育館から見下ろすと、住宅街は2階部分を残し完全に水没。「我が家だけは大丈夫かも?」などという淡い希望は完全に打ち砕かれ、床上2メートルを優に超す浸水に見舞われたのです。家財道具のほぼ全てを失い、途方に暮れましたが、避難所暮らしを経た後、沢山の人に助けていただきながら、何とか年末までには復旧し、元の生活を取り戻すことができました。

 その後、河川敷や堤防の整備、揚水ポンプの設置などが県内各地で進みましたが、はたしてこれで大丈夫か!?というと、決してそうとは言えない。と思うのです。そして頭に浮かぶのが、この「治にいて乱を忘れず」の戒め。いくら文明が進んだにせよ、人間が自然の猛威に対し、常にこれを防ぐ事ができると過信するべからず。日頃から物心両面の備えを怠ってはいけないと痛感しました。

 そして今、台風9号がちょっと速い市民ランナー並みの速度で北上中です。今週末にはその影響が県内にも出てくるかもしれません。今回被災された方々には心よりお見舞い申し上げますとともに、決して油断すること無く、情報の収集と災害への備えを整えたいと思います。

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