アイスと冷凍庫

2013年5月9日|

  59日は日本アイスクリーム協会が1964年に定めた「アイスクリームの日」だそうです。今からもう49年前の話です。

 その頃と今とのアイスクリーム事情を比較する上で、冷蔵庫の変遷を抜きにして考えることはできません。あくまでも個人的な見解ですが・・・。

 その頃の冷蔵庫と言えば、冷凍機能がついていないものが少なくありませんでした。ですから名前の通りもっぱら「冷蔵」するのが使命でした(製氷室はかろうじてついていましたけど)。

 したがって、アイスを買ってきても冷蔵庫にとっておくことはできませんでした。当然ですが、溶けてしまうからです。アイスは、食べたい時に買う。買ったら食べる、溶けないうちに。これがセオリーでした。お菓子屋の軒先や店内で食べるのも子供の楽しみの一つでした。アイスクリームではありませんが、10円で氷菓が買えた時代です。

 その後、冷凍もできる冷蔵庫、いわゆる「冷凍冷蔵庫(って、今は言わないですね)」が普及してくるとそれが変化してきました。何と言っても買ってきて家で保存できるわけです。子供にとっては革命的な嬉しい事件でした。めったにあることではなかったけれど、学校から帰ってきて、「おやつにアイスクリームがあるからね」と聞くと飛び上がって喜んだものでした。

 さらにアイス情勢は快進撃を続けます。なんと、でっかいカップに入ったアイスが売り出されたのです。家族や仲間で食べることを主目的として発売したのでしょうが、子供にとってはまさに「垂涎(すいぜん)の的」でした。清涼飲料水で1リットルびんが登場したのと匹敵するくらいのビッグニュースでした。「一生に一度でいいから、あれを一人で食ってみてぇー」と。

 そして現在、冷蔵庫に冷凍ルームは当たり前。むしろ冷凍庫に冷蔵ルームがついたと言えるくらい冷凍スペースは大きくなりました。アイスもファミリーパックがたくさん出回り、まとめ買いする事も多くなりました。おいしく、便利になりました。

 だけど時々、懐かしく思い出します。胸ときめかせ、お菓子屋に小銭を握りしめてアイスを買いに行ったあの頃を。セミの合唱を聞きながら店の軒下で食べたあの冷たく甘い、あの味を。ああ、いいですねー。ああ、いいっすねー。あーいーすねー。アイスねー。おあとがよろしいようで。

« 前のページに戻る

TOPへ