最古のふんに興ふん

2014年10月29日|

 1017日の朝日新聞に「脊椎動物
国内最古のふん」という記事がありました。「日本最古となる脊椎動物のふんの化石が、宮城県南三陸町の約24700万年前の地層からみつかった」のだそうです。

 記事によると24700万年前というのは生物の大量絶滅の500万年後にあたり、すでに生態系が回復していたことを示す国内最古の発見で、その地層について「生態系回復の歴史を解明する重要な拠点になる」という関係者のコメントも紹介されていました。

 たかが”ふん”、されど”ふん”、だと思いました。「排泄物」と言い捨ててしまえばそれまでのことですが、現在地球上でこのように生きている私達が、24700万年前という気が遠くなるようなはるかな昔に排便したこの脊椎動物と、何らかの形でつながっているかもしれないと思うと、感慨深いものがあります。地球上の生物はこれまで何度か大量絶滅とそこからの回復を繰り返してきたそうですが、その謎がわかっていくことで、生命の神秘、そして命の尊さに対する思いがより一層深まることではないでしょうか。

 そして私達、老健施設で働く者にとっても「ふん」・・・ではなく「排泄」ケアがすこぶる重要なのは言うまでもありません。「見て見ぬ振り」なんてもってのほか。他職種が連携し合い、しっかり観察、記録、対応することが重要です。もちろんそのために幅広く、そして深い知識と技術も必要です。適切な排泄ケアが行われているか否かが、命を左右すると言っても過言ではありません。

 排泄ケアに関しては医療、看護、介護、福祉機器、リハビリテーション、栄養・給食など各方面で研究・開発が進められています。各老健施設においても様々な取り組みの成果が発表されており、今後ますます排泄ケアの質は向上していくものと期待されます。そしてそれは後々私達自身が受けるであろう排泄ケアにつながるもの。24700万年先とは言いませんが、10年後、20年後、30年後、・・・の排泄ケアが、今よりもっと良いものになっているよう、それぞれにおける現在の取り組みの手綱を緩めてはいけない・・・と思った記事でした。

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