生きることは避けられない

2015年4月16日|

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 「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」と行ったのはイギリスの喜劇王、チャールズ・チャップリン。今から126年前、1889416日に誕生しました。日本では明治22年。51日に東京市が誕生した年です。

 不世出の喜劇役者であり、映画監督であるチャップリン。しかしその作品はいずれも抱腹絶倒するばかりではなく、涙や怒り、社会風刺などが庶民の目線から盛り込まれていて、そして何と言っても大きな感動を呼び起こす、素晴らしいものでした。

 映画界随一の完璧主義者と言われた彼は、わずか3分のシーンのために1年以上の歳月をかけたこともあるそうですが、それだけ映画にかける並々ならぬ思いがあったのだと想います。

 「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」・・・。このようなチャップリンが言ったこの言葉ですから重みがあります。彼もこの信念に基づき、数々の作品に魂を吹き込んでいったのではないでしょうか。

 アメリカの心理学者、エリクソンは老年期を「人生を完結する重要な時」として、その発達課題を「統合性」としました。これまで生きてきた歴史を振り返り、その良かったことも悪かったことも、自らの歩んだ道として受け入れ、自己を肯定的に統合することで、心の安定が得られるわけですが、それが得られないと絶望感に陥りかねません。

 老健施設で働く者の一人として、老年期を過ごす老健の利用者の話に耳を傾け、その生き様に尊敬をはらいながら、統合性が獲得できるようサポートしたい。そして利用者が生き生きと生活できるようケアをしていきたい・・・。チャップリンの言葉を反すうしながら、そのように考えた次第です。

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