郵政記念日

2015年4月20日|

 

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 420日は郵政記念日。1871年のこの日、それまでの飛脚制度から郵便制度が始まったことを記念して設けられました。

ネット社会となった今は、メール(email)などですぐに意思のやりとりができますが、郵便の場合、手紙を出す方はまず手紙を書いて、あて名、住所を書いて、切手を貼って、ポストまで行って、ポストに投かんするわけです。それが文通相手に出す手紙だったり、はたまた想いを寄せる人への恋文だったりすると、「ああ、いつごろ届くだろうなあ?読んで喜んでくれるだろうか?あんな文面で良かったかなあ?返事は来るだろうか?返事にはどんな事が書いてあるだろうか?」などといったことを、数日間かけて考えたりしたわけです。

 「南の丘を はるばると
郵便馬車が やってくる・・・」で始まる、岡本敦郎さんが1951年(昭和26年)に歌って大ヒットした「あこがれの郵便馬車」という名曲があります。インターネットはもちろん、電話もあまり普及していなかったこの時代、通信の主役は郵便だったわけです。この曲の中で人々の想いを込めた手紙を運ぶのは馬車。しかも一日に一度、南の丘を越えて、レモンの花の咲く道を通り、そしてはるばる峠を越えてやって来るのを、村の若者が待っているのです。それも”パッカパッカ”という馬のひづめの軽い響きがやって来るのを、耳を澄ませて聞いているわけですから、若者達のワクワク、ソワソワはただならぬものがあったのだろうと察することができます。夢と愛にあふれたうれしい便りの数々を乗せて、今日もやって来る郵便馬車。その便りの一行一行、一文字一文字を何度も繰り返し読んで心が満たされた若者は、これまた一行一行、一文字一文字に心を込め、推敲(すいこう)を重ねて返事の便りをしたためることでしょう。そしてその便りを乗せた郵便馬車がパッカパッカと去って行くのを見送りつつ、またの便りがくるまでの数日間、首を長くして待つことでしょう。

 これが現代だと、スマホでメールを送ればすぐに相手に届き、そしてすぐに返事が戻って来ます。写真だってその場で撮ってすぐ送れるし、仕事での連絡や書類の受け渡しもできるし、テレビ会議もできて大変便利です。郵便馬車にはとても真似できない芸当です。しかし便利さゆえに様々な問題が生じてきているのも周知の通りですし、一文字一文字に込める言葉の重さも変わってきたのではないかと思ったりもします。

 郵便とメール。それぞれに一長一短があるのではないでしょうか。老健施設の利用者の皆様に、かつての郵便に関するあれこれを教えてもらいながら、考えてみる機会にしてみてはいかがでしょうか。「あこがれの郵便馬車」を聴きながら。

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