自分探し

2015年6月22日|

 「自分探し」とは、これもあれも「本当の自分」ではないと「今の自分」を果てしなく否定しつづけることではない。「今の自分」から「新しい自分」を確実に創り出していくことである。  〔井上文人の言葉(『生きるヒントになる名語録728』、橋本一郎、三笠書房より)

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 老健施設で働く中で、病気や加齢によって心身が不自由になり、「以前は何でもできていたのに、こんなこともできなくなった」と、今の自分を否定し、悲嘆に暮れてしまわれる利用者に接することがあります。そんな時に思い浮かべるのがこの言葉です。しかし、「さあ、一緒に『新しい自分』を探しましょう!!」などと言って、簡単に「新しい自分」が見つかるものではなく、やはり各専門職による多職種共同で取り組んでいくこと不可欠だと言えます。

 また1980年の第14回リハインターナショナルによる80年代憲章では、「リハビリは、障害を持った個人がなし得ないことよりも、残された能力によって何をなし得るかが重要であるという哲学に基づいている。各人が有する全ての能力を最大限に活用した生活へのアプローチである」と提唱されていますが、これも「新しい自分」を探すことに通じるものだと言えます。利用者が新しい自分を探し出し、新しい一歩を踏み出せるよう、医療・福祉・保健が一体となり、地域ぐるみでサポートしていくことが重要だと思います。

 平成27年度の介護保険報酬改定では、利用者の興味や関心を反映した、参加と活動を促進するリハビリテーションの推進が打ち出されています。リハビリテーションを通じて利用者の在宅復帰、在宅支援をサポートすることはもとより、参加と活動を通じて利用者が「新しい自分」を探し出し、地域で生き生きと生活できるよう、老健施設の果たすべき役割はますます大切になってきています。そういう意味では老健自身も「新しい老健」を探求していく事が求められているのではないでしょうか。

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