肥料よりも親父の足あと

2016年6月3日|

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宮崎には「肥料よりも親父の足あと」ということわざがあります。「農山漁村に伝わる先人の知恵 宮崎県のことわざ・格言」(宮崎県農業改良普及協会編、鉱脈社)によると、「農業は技術も必要であるが、熱心さも大事であり、やはり主人公の熱心な取り組みが必要である」という意味だそうです。

老健を利用されている高齢者の中には農作業に牛馬を使われていた経験のある方が多くおられます。今のように農業機械を用いるのと比べ、その効率は非常に悪く、また大変な重労働だったことと思いますが、田畑にたくさんの足跡を残し、日々ご尽力されたからこそ、今の私たちの暮らしがあるのだと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです。

今は農業機械や技術も進化し、牛馬の時代と比べると作業効率は飛躍的に向上し、作業負担も大幅に軽減しました。しかしだからと言って生産者の熱心さが低下したわけではありません。

「図説 宮崎県の農業2015 数字とグラフでみる宮崎県農業のあらまし」(宮崎県農政水産部)によると、本県における平成27年の農業産出額(概数値)は3,326億円で、これは堂々の全国5位を誇るのですが、単に金額や生産量の多さにとどまってはいません。農業者、農業団体、行政が力を結集し、「みやざきブランド推進本部」を組織。「宮崎県から供給する農産物の安全は産地の責任」と、自主検査システムを全国に先駆けて取り組むなど、より安全で安心な農産物の生産、供給に向け、産学官が一体となり、これまで以上の熱心さで頑張り、輝かしい足あとを残していっておられるわけです。

今年度当協会は県の委託事業として「介護ロボット普及促進事業」に取り組むこととなっていますが、この「肥料より親父の足あと」のことわざが示すように、ロボットの導入により肉体的負担が軽減されたからといって、熱心さを失うようでは本末転倒。ロボットという「肥料」を手段として、利用者本位の心のこもったケアの実践という目的を果たすため、今まで以上の熱心さをもって素晴らしい「足あと」を残していけることを願ってやみません。

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