R4システム学びました(ケアプラン部会:その2)

2015年12月8日|

 「老健の役割や機能を反映させた新しいケアマネジメントシステムを」とR4システムの開発に向けた検討が始まったのは平成20年。平成222月に完成したR4システムは同年3月に厚労省に報告、承認を得ました。平成231月に電子化シートの無料配信を開始、翌243月にICFステージングに「余暇と交流」を追加、同年12月には通所版を全老健ホームページにアップするなどして現在に至っているそうです。

 従来は入所後にアセスメントを行ってからケアプランを作成していたのに対し、R4システムでは最初の面談、出会いである「インテーク」を重視。これを適切に行い、「なぜ老健を利用したいのか?」、「ここで何をしたいのか?」、「利用者や家族はどうなりたいのか?」、「当施設に何を期待しているのか?」、「利用者はどんな人生を送りたいのか?」などといった情報を、多職種で早期に共有することが大切で、インテークで実際の生活場面を見たり、自宅退所に向けての調査、情報収集、評価をする中で、退所時のイメージ(生活目標)を設定し、目標達成のためにクリアすべき課題を明確にすることが重要とのことでした。

 従来は各職種がそれぞれの関わる場面のみを見てしまいがちで、話し合いでの発言も安全確保やリスク回避に関することが中心になりがちだったのに対し、R4システムを用いてインテーク情報を活用することで、「生活」や「地域での暮らし」を意識したディスカッションができるようになり、「その方が地域で暮らすために、我々は何をすべきか?」という発言が増えるのだそうです。このことに関して谷川敦弘事務長は「(入所利用者については)『在宅復帰』ではなく『地域復帰』です。通所利用者も同様で、老健と自宅を行ったり来たりしているだけで、自宅では閉じこもっているのでは『在宅支援』になっていません。『在宅復帰』は『地域復帰』に変えた方がいいと思います。買い物や老人会の集まりなど、地域に復帰していかないといけません。そのためには何をすればいいかを考えることが重要です」と強調し、インテークの際に心身機能や物的および人的環境、そして活動や参加の状況など、様々な情報を収集し、評価していくことが地域復帰につながると指摘しました。

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 例えば、自宅のお風呂やトイレの評価を行い、それに応じたリハビリを行うことが大切で、それが適切でないと、施設ではできていたのに自宅に帰ってみるとできなかった、ということもあり得るとのこと。同様に「家に帰ったのはいいが、家の車の乗り降りができない」という事のないよう、家の車を持って来てもらった上で、実際に乗降動作の練習をしたり、訪問リハで実際の生活に合わせたトレーニングを行うなどのアプローチも、インテークで適切な情報を把握し、多職種で生活機能の原因を分析、課題を明らかにしていくことで可能となるとのことでした。

 R4システムでは専門職のアセスメントを打ち込む欄があり、他の職種がどのように評価し、何をしているのかが同時にアクセスしてできるのが特徴の一つ。在宅復帰への効果的なケアができるだけでなく、「各職種がスキルアップできます。そのためのツールとしてR4システムを使って行くことも大事です」という谷川事務長の説明に、受講者はうなずきながら聞き入っていました。

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(つづく)

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