協会活動報告

接遇学びました(看・介部会:その4)

【「言葉づかいの習慣病」に注意】

 研修会も終板になる頃、津田さんは「”言葉づかいの習慣病”なるものがある」と切り出し、受講者をハッとさせました。その「病名」とは、「ほうほう病」、「なります病」、そして「過去にしたい病」の3つ。それはこういう「症状」でした。

○「ほうほう病」:「通帳のほうをお預かりします」、「資料のほうをお持ちしました」など、名詞の後に「ほう」をつけて話すこと。正しくは「通帳をお預かりします」、「資料をお持ちしました」。

○「なります病」:「通帳はこちらになります」など、本来は変化を表す「なります」を、変化しないものにつけて話すこと。

○「過去にしたい病」:「ご注文はこちらでよろしかったでしょうか?」などと過去形で話すこと。「バイト敬語」とも呼ばれる。

 これらの「言葉の習慣病」の怖いところは、「伝染すること」。つまり、一人が「通帳のほうをお預かりします」と言い出すと、みんなが「通帳のほうを」と真似し始める恐れがあると、津田さんは受講者に注意を呼びかけていました。

【苦情は氷山の一角】

 不満に思っていることを実際に声に出して伝えてくる確率はわずか3パーセント、つまり「氷山の一角」と津田さん。残りの97パーセントは、黙っているが潜在的に不満を持っているのだそうです。そういう人の取る行動は3つ。つまり、()しょうが無いから利用し続ける、()他を利用する、()直接不満を伝えず、他者に「あそこは悪い、二度と行かない」などと言いふらす・・・。とりわけ()は”サイレントクレーマー”と言い、怖い存在だと指摘しました。

 そして、実際に苦情が発生したらどうするか?次の6点であると教わりました。

(1)素直にお詫び

(2)話をよく聞く:言いたいことを言い終えて落ち着くまで、相手の目を見て聞く。弁解、いいわけなどせず、決して話をさえぎらない。

(3)冷静さを保つ:こちら側が感情的にならないこと。

(4)お客様の立場で考える:「(当行のそういう)決まりですから」などと言って受け付けないのはだめ。決まりが合っていないならば、お客様目線で変えていく。

(5)迅速な対応を心がける

 このような苦情への対応を心がけることで、お客様とよりいい関係になることもあると言う津田さん、「”雨降って地固まる”とも言う通り、クレームはチャンスに変わる場合もある」と苦情への適切な対応が大事だと力説しました。

【ほめる、継続、感動。CS向上のポイント】

 研修の終わりに津田さんは、CS(顧客満足)を向上させるために、自分たちがやるべきポイントとして「ほめる」、「継続」、「感動すること」の3つを示しました。それは次のような内容です。

1.ほめること:大きな業績を上げた時ばかりでなく、小さなことでもいいからほめること。コツコツ前向きに変わろうとしているのを見逃さず、タイミングよくほめること。

2.継続:最初は「あれ?」と思うこともあるが、続けることで定着する。意識しないでできるように継続する。

3.感動すること:骨格筋と同様に、人には「気づ筋肉(きづきんにく、つまり”気づきの筋肉”)」がある。筋肉は鍛えれば大きくなるが、「気づ筋肉」も同様。それいは感動することが大事。本でも映画でもいいから、ちょっとしたことで感動する事を続けることで「気づ筋肉」が鍛えられる。

IMG_2333.JPG(会場からは質問が相次ぎました)


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(親切に、そして熱心に答える津田さんでした)

 研修は主にスライドを用いて進められましたが、写真あり、ビデオあり、そしてもちろん、歌もあり。受講者全員が満足を得られた研修会に、さすがは”CS向上のプロフェッショナル”だと、津田さんの講演に改めて感動させられた2時間でした。受講者達は「さっそく今日から自分の施設でも実践しよう!」などと充実した研修会となりました。(おわり)

接遇学びました(看・介部会:その3)

15秒で決まる第一印象】

 宮崎銀行には「CS(顧客満足)マニュアル」というものがあるそうです。これは接遇をよくしたり、苦情を受けたときにどのように対応するか?という”顧客サポートマニュアル」とのこと。昨日のブログでも触れましたが、「品質」とは、「お客様の期待に対するギャップ」。期待通りだと普通、期待以上だと満足し、それ以上だと感動を覚え、他の人に口コミで拡散するものだそうです。反対に期待以下だと不満足で、期待を大きく下回ると苦情やクレームになり、「感動」と同様に口コミで広がるものですが、「『悪事万里を走る』と言うとおり、口コミ良いことよりは悪いことの方が倍以上の勢い広まる。したがって、少なくともお客様の期待以上のサービスを提供し、満足感を与えなければならない、とマニュアルには書いてある」と紹介しました。

 そして大事なのはそれを全員でやるということ。だれかがいいサービスをすればいいというものではないということです。津田さんは、「10人のうち9人が合格点だとしても、一人がだめだとお客様は不満を感じ、とくに最後に接した人がだめだと、それまでいくら良い感じでも悪いイメージに変わってしまう」と全員でサービスを提供することの重要性を強調しました。また、「これをサービスの連鎖性」と呼ぶのだと教わりました。

 もちろん、最後がよければ初めはどうでもいい、というわけではありません。津田さんは「第一印象」の重要性について「最初の15秒で決まる」と断言しました。なかでも大事なのは”視覚”つまり見た目だそうで、第一印象の83パーセントは視覚によって決まるのだそうです(次いで聴覚:話し方、嗅覚、触覚、味覚と続くとおこと)。

【接遇の6つの要素】

 接遇には(1) (2) (3) (4) (5) (6) の6つの要素があるそうです。その中で、 あいさつ、 身だしなみ、 言葉遣いの3つについて学びました。

 あいさつの基本は「あ・い・さ・つ」の4つ。つまり、次の通りです。

あ:あかるさ(そして大きな声で)

い:いつも(今日はしたけど昨日はしなかった、ではだめ)

さ:さきに(年の上下は関係なく、相手に気づいた方から)

つ:続けて(「こんにちは」など決まり文句の挨拶に続けて「今日は髪型が違いますね」など、相手を思う一言を)

 そして大事なのは「笑顔」と「アイコンタクト」。津田さんは「笑顔がなく、アイコンタクトもとらないような挨拶はやらない方がいい」とバッサリ。受講者は自らの挨拶の仕方を省みながら耳を傾けていました。

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 また、身だしなみについては、「清潔感」、「品格」、「控えめ」の3つがポイントとのこと。「”おしゃれ”と”身だしなみ”は違います。”おしゃれ”は自分のため、”身だしなみ”はお客様のためにするもの。仕事中に必要なのは”身だしなみ”。オンとオフをしっかり切り替えて」と、どの年代の相手からも好感を持たれるような身だしなみの大切さを学びました。(続く)

全国大会始まります

 103日から5日にかけて、「第23回全国介護老人保健施設大会 美ら沖縄(ちゅらうちなぁ)」が、沖縄コンベンションセンター他を会場に、盛大に開催されます。

「命どぅ宝(ぬちどぅたから:”命こそ宝物”の意味)老健が担う地域包括ケア」と銘打ったこの大会には、宮崎県内の会員施設からも、多数の参加、そして発表が予定されています。行かれる皆様におかれましては、どうぞお気をつけて、そして全国の老健職員と忌憚(きたん)の無い意見交換、情報のやりとりをしてきて下さい。

おっと!忘れちゃいけません。来年は「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」が、宮崎市の宮崎観光ホテルで開催されます。開催日は平成25年の1114日(木)と15日(金)2日間ですよ!沖縄県はもちろんのこと、他の九州各県の参加者と会った時には、その旨しかとお伝え頂いた上で、「来年は是非、宮崎大会に来てね!」とお誘い下されば幸いです。大会テーマは「共に創ろう、老健の未来のカタチ」、そしてサブテーマ「?みんなが安心して老いる社会を目指して?」ですから、そこんとこよろしくお願いします。

なお、沖縄大会の会場内には宮崎県の特設ブースを設け、当協会の宣伝上手なスタッフ陣が大会パンフレットを配布し、来年の宮崎大会を盛大にPRする運びとなっていますので、ご支援方お願い申し上げます。

接遇学びました(看・介部会:その2)

 【”品質”とはお客様の期待に対するギャップ】

 宮崎銀行の品質向上推進室は、同行が平成23年からスタートした中期経営計画を展開する中で、昨年4月に立ち上がったそうです。その「品質」とは何か?津田さんは「お客様の期待に対するギャップ」と説明しました。それはこういうことでした。

○「宮崎銀行ならこのくらいのことはしてくれるだろう」というお客様の期待に対して、

(1)期待通りであれば・・・普通

(2)期待以下であれば・・・不満足。極端に期待から劣っていたら苦情やクレームになる。

(3)期待以上であれば・・・満足。期待よりはるかに良かったら「感動」になり、他の人にも知らせたくなる。

 この事は、金融機関に限らず、私たち老健施設にもそのまま当てはまることであり、受講者は「利用者様やご家族の期待以上のサービスを提供できているか?」と自問しながら聞き入っていました。

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 品質向上推進室の主な業務は「CS(顧客満足)向上のための企画、CS指導」、「苦情、要望等の受付対応」の2つ。講義はそれぞれについての具体的な取り組みについての説明に移りました。

 「CS向上のための企画、CS指導」の具体的な取り組みの一つとして、同行は「”立ってお迎え・お見送り”の実践」をしているのだそうです。これはお客が入店した時、そして帰るとき、窓口業務の行員が必ず立ち上がってお迎えとお見送りを行うというもの。「他の金融機関がかつてこれを実践するにあたり、役員が『外食産業の場合、お客様を座ったまま迎えるようなお店はない。みんな立ってお迎えする』ではないか」と述べたのだそうですが、なるほどです。たしかにお客様一人一人に対して、いちいち立って、座って、を繰り返すのは大変。しかし、慣れてくるとお客様と話す機会が多くなったとの声も上がって来ていて、この「立ってお迎え・お見送り」、しばらく継続していくとのことでした。

【外部の力を借りて朝礼改革】

 宮銀ではCSの一環として、「朝礼改革」に取り組んだそうです。これは、ある支店の朝礼の模様をビデオ撮影し、某大手衣料品販売店の経営者に見てもらい、問題点を指摘してもらったとのこと。それをもとに見直した朝礼の様子がビデオで紹介されました。その内容は次の通りでした。

(1)朝礼場所をカウンター内からロビーに変更し、お客様側を向いて実施するようにした。

(2)朝礼の最初に「その場駆け足」を行い、身体を動かしてリラックス。

(3)司会が一方的に進めるのではなく、問題を出して解答し合うなど、双方向形式に。

(4)話を聞く時にはメモを取ることで、話をする人を真剣にさせる。

(5)笑顔が引き立つよう、みんなで「ラッキー!ミッキー!ウイスキー!」と唱和して口角を上げる。

 「朝礼改革」をする前と後との変わりようは目を見張るばかりで、受講者からは驚きの声が上がっていました。特に(5)の「ラッキー!ミッキー!ウイスキー!」は、強烈なインパクト。各老健施設の朝礼でも取り入れてみてはいかがかと思いました。
104日付ブログに続きます) 

接遇学びました(看・介部会:その1)

 (社)宮崎県老人保健施設協会看護介護研究部会は922日、宮崎市の古賀総合病院で接遇研修会を開きました。高齢者施設で働く職員の社会人としての接遇マナーを身に着けるとともに、苦情や要望への適切な対応をはかることでCS(顧客満足度)を向上させることの大切さを学びました。

 この接遇研修会には、67人が受講しました。開会にあたり挨拶に立った同部会の仮屋美紀子委員長(春草苑)は、「今回の研修は、以前私たちの施設の法人内で受講し、実践・継続したところ、施設が明るく変わり、苦情もなくなった。皆さんも是非、今日の研修をそれぞれの施設に持ち帰り、一つでもいいから実践して下さい。6か月続ければ変わります」と呼びかけました。

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 講師には宮崎銀行品質向上推進室の津田宗次調査役にお越しいただきました。仮屋委員長の紹介に続き、津田さんが姿を現すと、会場内からは軽いどよめきの声が上がりました。細見で長身のナイスミドルのその姿には見覚えが・・・。そうです、「夢にー会いに行こーう」と、同行のイメージソングをアカペラで歌って好評を博した同行の行員五人組によるアカペラグループ”Muse(ミューズ)”のメンバーで、その真ん中で歌っている人こそ津田さんだったのです。

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 そんな会場のちょっとした動揺が漂う空気の中、柔らかい声で自己紹介を始めた津田さん。「自分の性格は軽いか?重いか?というと、軽い。小学校の頃から落ち着きがないと言われてきました。厚いか?薄いか?というと、薄い。ポジティブか?ネガティブか?というと、たぶんみんなの前ではポジティブ。でも一人のときはネガティブです・・・」と笑いを誘いながら会場の雰囲気を和やかにしていきました。そこに「接遇のプロフェッショナル」の片鱗を垣間見た気がしました。

 そうしながらも、「今日の研修で一番大事なのは、いかに持って帰って実践するか、それに尽きます。研修を聞くと”なるほどなあ、と思い、やってみようかな?という気持ちになりますが、それも日が経つにつれてモチベーションが下がります。実践し続けることが人間成長にもつながります。実践し、習慣化させて下さい」と、参加者への研修意欲を引き立てる心配りも忘れてはいませんでした。さすがです。(続く)

「老健みやざき」間もなく発行!

 (社)宮崎県老人保健施設協会の広報誌「老健みやざき 26号」が間もなく出来上がります!

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 今回の「老健みやざき」、巻頭を飾るのは「老健ルポルター寿(じゅ)」。隔号で掲載を予定しているこの企画、第3回の訪問先として今年3月にオープンしたばかり、当協会44番目の会員施設である“のべおか老健あたご”を、ルポ隊総動員で取材した様子を掲載しています。県内で初めて、全国でも数少ない完全個室ユニット型施設である”のべおか老健あたご”は一体どんな所でありましょうか!?

 これに続き、リーダーシップを学んだ看護介護研究部会研修会、人材育成マネジメントについて研鑽を深めた事務長会セミナー、高齢者の自立を妨げる「サルコペニア」の現状と対策を栄養士の立場から理解した栄養・給食研究部会研修会、”ポジティブプラン”を作ることの大切さを知ったケアプラン研究部会研修会、老健の在宅復帰機能の重要性を再認識したリハビリテーション研究部会研修会と、各部会の活動報告を掲載しました。

 さらに「リレーコーナー」では、県内各地の老健施設の、色々な職種のスタッフにお声を寄せていただきました。そんな中で、この「リレーコーナー」ならぬ、「リレーマラソン」に施設をあげて参加、50キロもの道のりをタスキリレーしたことぶき苑の奮闘ぶりも紹介しています。

 最終頁を美味しく飾るのは、「人気のおすすめメニュー」すこやか苑の管理栄養士、増満和美さんに利用者様に大好評の逸品の数々を紹介していただきました。

 「老健みやざき 26号」は、10月上旬に会員施設や関係機関に送付するほか、この当協会ホームページ上でも閲覧、ダウンロードできるようにする予定です。どうぞお楽しみに。

研修会開きます(在宅支援部会)

  (社)宮崎県老人保健施設協会在宅支援研究部会は1020日(土)、宮崎市中央公民館中研修室で研修会を開きます。

 講師に宮崎大学教育文化学部講師で経済学博士の鶴田禎人先生をお招きし、「地域包括ケアと介護のゆくえ:老人保健施設を中心として」と題し講演をしていただきます。

 この
研修会
は老健施設の職員だけでなく、どなたでも受講できます。参加費として老健職員は一人500円が必要ですが、それ以外の方は無料です。

 詳しくは こちらをご覧ください。申込み締め切りは1012日(金)までですが、定員(50名)になり次第、締め切らせていただきますので、お早めにお申し込みください。

 この
研修会 に関するお問い合わせ・お申込みは、サンヒルきよたけ(担当:黒木勝久 電話0985-84-0333、FAX0985-84-0700)までお願いいたします。

高齢者栄養教室ひらきます

(社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は1027日(土)午前10時から、都城市コミュニティーセンター調理室で高齢者栄養教室を開きます。講話や調理実習など、おいしく、ためになる盛りだくさんの内容です。

 この
高齢者栄養教室 は、老健職員はもちろん、高齢者の食事でお困りの方、興味のある方など、どなたでも参加できます。なお、食材費として一人500円が必要です。詳しくは こちら
をご覧の上、奮ってご参加ください。

 申込みおよび問い合わせは、すこやか苑(担当:増満、電話0986-39-1107)まで。お気軽にお電話下さい。

(研修会開きました(ケアプラン部会:その4)

 講義に続いて各グループでロールプレイが行われました。事例に基づき、受講者はそれぞれ利用者とその子供、ケアマネージャー、施設職員の役に扮し、あらたなケアプランを立てるための話し合いを行いました。

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 この中で明石先生は、「ケアマネージャーはまず(家族よりも)利用者の要望を先に聞いたか?」、「話を聞き取るとき、ケアプランを説明するとき、相手の顔を見て、視線を合わせることができたか?書くことや説明することに専念していては、その時点で信頼関係は薄れていく」など、具体的な留意点を説明し、受講者は自分たちのやりかたを振り返っていました。

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 研修会も終わりに近づき、「ケアマネジメントを定着化させるケアマネージャー」となるために、明石先生は次の8つを示しました。

(1)利用者お一人お一人の個別性の把握(アセスメントの活用・更新)

(2)組織のケアの状態の把握(利用者本位はどこまで実践できているか)

(3)職員へのケアプランの浸透(ケアマネジメントの実践)→現場のケアマネを作らない

(4)チーム・ワークによる個別ケアの統一化

(5)モニタリングとフィードバック機能

(6)ケア会議の充実化→生活の質の向上に重点

(7)利用者の家族との話し合い、ケアプランの確認、モニタリングの報告

(8)根拠に基づいたケアの実践=ケアワークの専門性の向上

 

 最後に「利用者が喜ぶ、納得するケアプランを作るとき、皆さんが楽しくなっているか。私たちが喜ぶだけでなく、相手の満足が私たちの満足になるようなケアプランを作る。そして職員と連携して達成したときにみんなで喜び合う。それをマネジメントする人がケアマネージャーという存在じゃないかと思います。また、ケアマネジメントというシステムは日本では歴史が浅く、定着しきれていないところがあります。皆さんがそのシステムを作るのです。ケアに対するマネジメントと組織におけるケアマネジメントシステムのマネジメント、これを念頭に置いて欲しいと思います。気づきを大切に、そして学び続け、実践につなげましょう。できることから始めて下さい」と力説した明石先生に、会場からは割れんばかりの拍手が起こりました。

 限られた時間の中で、ケアマネジメントの理論と実践を学び、明日からの業務に活かせる盛りだくさんで充実した研修会となりました。(終わり)

(研修会開きました(ケアプラン部会:その3)

 明石先生の話は、「ケアマネジメントとは」に移りました。まず、「マネジメント」とは、「リーダーから出された方針を組織的に、より効果的に、より合理的に進め、一定の効果を出すために行う、人事、サービス、コミュニケーション、リスク等における総合的・効果的な管理運営スキル」とのこと。組織論から始まったマネジメントは、すぐに結果や効果が得られないとき、長期化する場合に重要なのだそうです。

 一方、「ケア」とは、「人間が、人間らしく、あなたらしく生きていくために、直接的な介護や、または間接的な空間づくり等における専門的な支援」のこと。

 総じて「ケアマネジメント」とは、「ケアを通して、利用者が自らの生活・人生・生命を人間らしく生きることを実現するために行う、人事、サービス、コミュニケーション、リスク等における総合的、効果的なスキル」であると、資料を用いて説明がありました。

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 この中で、特に「効果がなければ意味がありません」と強調。大きな目標地点は人間の尊厳であり、身体状況や認知症の程度に関係無く、喜びや豊かさがあり、「生まれてきてよかったなあ」と思えるような生活ができている状況を、「尊厳をもって生きている」と言うとのこと。

 これらを踏まえ明石先生は、「施設ケアマネージャーは、施設における利用者の生活・人生・生命の質を高めるためにケアを運営・管理するプロフェッショナル(専門職)です。これを言って、やれなければなりません。新しい施設ケアマネージャーがよそから来たときに、『私たちの施設ケアマネージャーの専門性はね、』と言葉で説明できるようにしなければ、前のところでやっていたやり方を持ち込まれる可能性があります」と、自らの専門性を言って、やれるプロの施設ケアマネージャーになろうと呼びかけました。

 また、医療と福祉のはざまで施設ケアマネージャーが抱える現実的な悩みについても言及しました。「看護と介護とどっちが上か下かという話があるが、そうじゃない。発想が違うのです。医療が支えるのは『生存』であり、福祉が支えるのは『生活』。どちらの技術も重要になってきます」とのこと。この発想の違いはケアプランにも影響することから、トップマネージャーの責務として「『福祉の発想に医療を取り込む』のか、『医療の発想に福祉を取り込むのか』を示しておくことが大事。そうしないと現場が混乱する」と前置きし、「介護施設は『福祉の発想に医療を取り込む』という考えでやらないと、ケアプランがぶれてくる」との見解を示しました。(続く)

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